Happily Ever After
□Saint School Life
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UP DATE:2020/10/07 write by kaeruco。
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短い会話だったが、満足げに兄との通話を終えた瞬が携帯電話を内ポケットへしまおうとしていたので、藤宮はひとつ提案をすべく呼び止める。
「瞬くん、今朝見せてくれたお兄さんがお仕事行く時の画像、先輩方に見せてあげなよー」
「えー、あんまり親しくない人にはもったいなくて見せたくないんですが……」
渋々画像を呼び出す瞬を見て、岸川は他のクラスメートに絶対見るな、と警告した。
そんな警戒ぶりに、うちの兄貴はメデューサかよ、と邪武が苦笑する。
「はい、これがずっと僕を守ってきた世界一かっこいい僕の兄さんです」
部下の双子がおまけについてますけど、と不服そうだが、誇らしげに掲げられた携帯電話に映し出された画像を目にした上級生たちは完全に思考が停止した。
見たこともない領域の美形を2人も傅かせ、瞬の兄であるというのに全く似ていない青年が微笑んでいる。
ただそれだけの画像であるのに、なにやら耐え難い圧力のような物を感じ、本能が屈した。
「……瞬の兄ちゃんってめちゃくちゃオーラ半端ない美形だからさー、真正面から見るとちょっと怖えんだよ。ああ、すっげーいい人なんだけどさ、近くにいると圧迫感で疲れるっていうか、あー、王様なんかとさ、謁見させられてる気分?」
クラスメートへの岸川の説明に、藤宮も加わる。
「日本刀みたいな美形って言えば伝わる? 鞘を抜き払ってじっと見つめると、美しさに魅入られたり、堪え難い衝動が湧き上がる、みたいな? それが、全開になってる画像だったの、アレ」
藤宮の例えに、クラスメートだけでなく末っ子コンビも納得した。
子供の頃から知っているからまだ耐性があるが、それでもあの仕事モードの一輝と真正面から向き合うのは少々気合がいる。
聖衣を纏って本気で拳を交える覚悟と同じくらいには。
特に瞬にとってはデフォルトでも、兄という存在に憧れていた彼らにほとんど向けられてこなかった慈しむような微笑みは、こうかばつぐんだ。
そこへ、今度こそ携帯電話を制服の内ポケットへしまった瞬が合流する。
魂の抜けてしまった上級生たちは放置する事にしたらしい。
後でクラスメートが職員室と風紀室に連絡してくれるそうなので、指導室送りになるだろう。
「そろそろ見学、行きませんか? って、みんなして、なんの話してたんですか?」
訝しげに問う瞬へ、顔を見合わせた星矢と邪武、岸川と藤宮は声を揃えた。
「俺たちの兄ちゃんは
「俺たちの兄貴は
「君らの兄ちゃんは
「君たちのお兄さんは
───最高にカッコイイって話!」」」」
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2020/10/03 〜 2020/10/06
UP DATE:2020/10/07