You'll never walk alone
□青く深き王国
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青く深き王国
〜 Deep Blue 〜
5 太陽の闇、夜の闇「イルカ先生……そんなっ! 嘘だろっ!」
ナルトはイルカの落ちた辺りを目指し、駆け出した。
岬より村側に近い場所からでは、森か海を大きく迂回しなければそこへ行くことはできない。
全速力で駆けたとしても、ナルトがたどり着くまでイルカが無事でいる保証はない。
それでも、衝動的に走り出していたナルトを止める者はなかった。
はずだったが、がしりと肩を掴まれる。
「っ!?」
「うおっ!」
反射的に振り払おうとしたナルトの腕を、その人はたやすく阻む。
「あっぶねえなあ」
「イッ……イルカ、先生ぇっ?」
それはたった今、崖から海へと落ちたはずのイルカだった。
だが全く濡れた様子もない常と変わらぬ姿に、ナルトは混乱する。
「……え? えぇっ! な、なんでっ……」
「ま、その話は後だ。一旦、退くぞ。ナルト、村まで先行して」
「……お、おうっ!」
まだ状況を把握しきれていないのか戸惑いを隠せぬまま、それでも促されるとナルトは村への道を駆け出した。
何かが引っかかるのだろう。
時折、首を傾げて背後を振り返る。
「なんか、変だってばよ……」
だが、ナルト自身、その違和感が何なのかはっきりとは分からずに、ただ首を傾げるばかりだ。
その背に向けて、ほら急げと声を掛けてやりながら、イルカもまた背後へ視線を向ける。
追跡者を警戒しているというより、何事かを案ずるような眼を。
村へは大きく迂回して向かった。
それでも高台からしばらく様子を伺うが、幸いにも追跡者はなく、留守の間に村が襲撃された気配も無い。
安堵したように頷きあうと、ナルトとイルカは村へ入った。
ちょうど、マナとサスケが子供たちに囲まれて漁から戻る人々を迎えに浜へと向かっていたところど、2人を出迎える。
マナが手を振ると、昨日ですっかり懐いてしまった子供たちがイルカの元へかけてきた。
「おかえりなさい、イルカさん、ナルトくん」
サスケは予定より早い2人の帰還を不思議に思ったのだろう。
怪訝そうにイルカへ問い掛ける。
「なにかあったのか?」
「ん、まあな。サクラは?」
「まだ戻っていないが……」
言いかけて、サスケは気付いた。
明らかに戦闘に巻き込まれたであろう体のナルトに比べ、イルカの衣服がキレイすぎる。
いくらドジでも、ナルトだけが敵に遭遇して戻ってくるなんてことはありえない。
そんな状況になれば、イルカの方こそナルトを庇おうとして汚れるような気がした。
本能的に違和感を感じたらしい子供は、イルカに近付くのをためらっている。
「アンタ……イルカ先生じゃないな?」
「ええっ!? じゃあ、誰なんだってばよっ!」
半ば答えを見つけたサスケが冷静に問いかけ、ナルトはうろたえる。
2人の様子に呆れた口調でイルカが額を押さえた。
「ナールトー、誰だーはないデショ?」
「その口調……」
やっぱりな、というサスケの呟きに、漸く気付いたナルトが傍らのイルカを指して叫ぶ。
「ままままさか、カカシ先生ぇっ?」
「せーかいっ」
write by kaeruco。
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