You'll never walk alone

□青く深き王国
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 くのいちならではの柔らかい身体と息の合う双子という利点を活かし、縦横無尽に4つの刃が乱れ飛んだ。

 できるかぎり紙一重でかわし、時にクナイで受け流しながら、イルカは精神を集中していく。

 攻撃にだけ気をとられてはいけない。

 剣戟の隙をつくように忍術でとどめを差しに来るのは、霧隠れの常套戦術だ。

「このっ!」

「おのれっ」

 倒すどころか確実なダメージさえも与えられず、まだ歳若いくのいちが焦って大振りに繰り出す攻撃をイルカは待っていた。

 2人の動きを隠すように立ち、限界までひきつけておいて、瞬身で避ける。

「なっ!」

「うあっ」

 激突する2人に目もくれず、少し離れた場所へ下り立ったイルカは周囲を伺った。

 もう1人、彼女らの姉の目はくらませることはできていない。

 イルカが女の居場所を察知したのと、声が掛かったのは同時。

「流石、木ノ葉。だが……」

「くっ」

「わらわの相手には、ならぬのう」

 首筋に当てられた冷たい感触に振り返るどころか、もはや身動きすら取ることはできない。

「霧隠れの罔象(ミズハ)の手に掛かること、名誉と思え」
 
 なんの感慨もなく、引かれた刀がイルカの首に沈んでいった。

 と、同時に爆煙が上がる。

「姉者っ!」

「罔象(ミズハ)様っ」

 突然の爆発に妹たちだけでなく、洞穴で待機していた部下達までもが駆け寄ってきた。

 咄嗟に瞬身で避難したお陰で無事だったが、もうイルカの位置は掴めない。

「……仕込み影分身か。やってくれる……」

 口元を歪め、霧隠れのくのいちは部下へ言い放つ。

「これより鍵を貰い受けに参ろうぞ」

 
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2005/10/14
UP DATE:2005/11/10(PC)
   2009/01/01(mobile)
 
 
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