You'll never walk alone

□青く深き王国
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 そう呼べば大きく手を振り返すその人。

「ナルトーっ! 久しぶりだなーっ!」

「イルカ先生ーっ!」

 飛びついていくナルトをしっかりと受け止めたのは、アカデミー時代の恩師、うみのイルカ。

 今まで任務に着いていたのだろう。

 重そうな背嚢にまで泥汚れや擦り傷があった。

 だがそんなことにはまったく頓着せずに、ナルトもイルカも笑って久々の再会を懐かしんでいる。

 サクラも、列に並んだままのサスケも半ば呆れ、どこか羨ましそうに2人を見ていた。

 そんな2人──いや、イルカから目を離さないまま、マナはサクラへ問い掛ける。

「あの方は?」

「え? あの、イルカ先生ですか? 私たちの恩師で」

「もしかして、うみのイルカというの?」

「ええ、そうですけど。なんで……」

 サクラの答えを聞くや、マナはイルカへ向けて歩き出した。

 それに気付いたナルトが、マナ姉ちゃんと手を上げてイルカを、そしてイルカにマナを紹介しはじめる。

 だがそれを無視するかのように、マナは口を開いた。

「あなた、うみのの方ですね」

「は? ええっと、確かに、私はうみのイルカですが……あなたは?」
 
 ナルトの知り合いらしいとは言え、見知らぬ女性から声を掛けられたせいか、多少イルカの答えは歯切れが悪い。

 しかし、そんなことは気にもとめず、マナは真っ直ぐにイルカを見つめ、微笑んだ。

「私は水門(みなと)マナ。あなたを、お迎えに参りました」

「オレ……を?」

「はい。あなたは私の婚約者ですから」

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2005/09/08
UP DATE:2005/09/15(PC)
   2008/12/30(mobile)
 
 
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