You'll never walk alone
□Petit Noel
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Petit Noel
〜 小さな願い 〜
木ノ葉バレエ・アカデミーでは、毎年12月の半ば、クラス毎にクリスマス会を行なっている。
とは言っても、子供の多い見習クラスと初級クラスでのみ。
とてもささやかな会で、子供たちと講師が飲み物と軽い食事で談笑し、プレゼント交換をするだけのものだ。
それでも、多くの子供たちが楽しみにしている催しの1つ。
まあ、例外も居るのだけれど……。
そして、今年もその日となった。
会場はアカデミーの大会議室。
白いテーブルクロスの掛けられた会議机上の飲み物やスナック類は、見習クラスの頃に比べて少し大人びたラインナップになっている。
もちろん、子供とは言えバレエダンサーの集まりだから、カロリーは控えられている。
入り口近くで今年、初級クラスに上がったばかりの女の子たち3人──サクラ、いの、ヒナタが集まって話をしていた。
話題は、プレゼント交換のこと。
見習クラスの頃は手作りが原則。
買う場合は500円まで。
貰った物は自分の物だった時以外は、交換不可。
運が悪ければ芸術的としか表現しようのない──用途不明の物体を持ち帰るハメになる。
だが初級クラスには、3,000円程度という暗黙の了解があるだけ。
まだ子供とはいえ、初級クラスはプロのダンサー。
多少は世間を知ってきているのだから、期待も高まる。
「それはそれとしてーえ、やっぱりサスケくんのプレゼントが欲しいわよねーえ」
「確かにねー! って、アンタにはもったいないわよっ」
サクラといのの会話は、見習クラスの頃から変わらない。
必ずサスケの話題に移り、そして口論へ発展する。
口ゲンカは彼女たち独特のコミュニケーションらしく、最初のうちは慌てて止めに入っていたヒナタも、今ではすっかり慣れた。
デコリン、いのぶたがでるまでは放っておいて構わない。
「ま、いいわ。それより、アンタは何を用意してきたのよ、デーコリン」
「るさいわね、いのぶた! アンタこそ変なもの持ってきてないでしょうねっ」
「あ、あのっ! ……えっと、」
いつもより早く飛び出した危険な言葉に、とっさに割って入ったものの、この場をどう収めればいいかヒナタには分からない。
そこへ、ナルトとサスケが連れ立ってやってきた。
「なー、サクラちゃん。カカシ先生、知らねーってばよ?」
「え? そーいや、いないわねぇ。……また遅刻かしら?」
「ちっ! 新人担当の講師は進行係だって忘れてやがんな、アイツ」
「しょーがないわよ。それに、レッスンにだって遅れてくるカカシ先生が、このクリスマス会にちゃんと来たら、それこそ腹が立つじゃない」
「でもよーっ、カカシ先生がこねーと、オレたちが手伝わされるんだってばよっ」
「なんでよっ!」
「あ、あのヒゲ先生がそー言ったんだってばよ」
サクラのツッコミに、ナルトはびびりながら猿飛アスマを示した。
憮然とナルトの示した人物を睨みながら、サスケも言う。
「担当講師の尻拭いは、教え子がするもんだとか抜かしやがる」
それを聞いて、サクラは考えた。
write by kaeruco。
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