You'll never walk alone

□骨に願いを…
1ページ/4ページ



骨に願いを…
〜 wishbone 〜
 



 その日、今年の新人下忍たち9人は揃ってDランク任務についた。

 任務内容はとある牧場の手伝い。
 広大な敷地の牧草を刈り込んだり、乾燥した牧草をサイロへ運びこんだり、夏の間放牧していた牛を追い集めて牛舎へ繋いだり。

 とにかく、人手と体力だけがいる任務だった。

 夕日紅率いる8班は特徴を生かし、放牧されている牛を追い集める。

「じゃ、始めましょうか。ヒナタ」

「はい」

《白眼》

「キバくん、南のほうに6頭いるよ」

「おおっしっ! いっくぞ赤丸ぅ!」

「ワンワンっ!」

 日向ヒナタが牛の所在を確認し、犬塚キバと赤丸が牛を追った。
 キバと赤丸が追い込んだ牛を油女シノとヒナタで牛舎に導き、繋いでいく。

 赤丸と共に4つ足で牛を追うキバの姿に、シノはぼつりともらした。

「……牧羊犬が、2頭……」
 
 けれどそれは紅とヒナタも口にこそしなかったが、思っていたことでもある。



 はたけカカシが指導する7班はもっともの人手のいる牧草の刈り込みを行なう。

 春野サクラの発案で、うずまきナルトの多重影分身を利用した人海戦術でコトに当たるのだ。

「じゃ、たのんだわよっ! ナルト」

「おうっ! まーかせろってばよっ!」

《多重影分身の術》

 ぼふぼふぽふんと数十人のナルトが現れる。
 そのナルトお得意の術に、うちはサスケがいつもの一言。

「フン。ドベの一つ覚えが……」

「なんだとサスケェ!!!」×50

「サースケくーん? 君、なーにさりげにケンカ売ってンのー」

 ダメでーしょ、といつもどおりにカカシが止めに入る。

「ナルトッ! アンタはさっさと仕事にかかれぃ!」

「わ、わかったってばよ。サクラちゃん……」×50

 そして、サクラの号令で早速草刈りを始めるナルト×50。

 サクラと共にその刈られた牧草を一所に集めていきながら、サスケはその積みあがった牧草の上に陣取り、早速(イチャパラ片手に)おサボり体勢に入った上忍を睨みつける。

「……チッ、ウスラトンカチが……」

「サスケ……聞こえてる」
 
 猿飛アスマの10班は乾燥した牧草をサイロへ運び込む作業につく。
 高いサイロの上から、他の班の様子を見つめて奈良シカマルが呟いた。

「あー、なんか向こう、にぎやかんなってんぜー」

 かさも重量もある牧草の束をサイロへ落とし込んでいく手を止め、山中いのが身悶える。

「ああんっ! もう、なんでサスケくんと一緒の任務だってのに、分かれて作業しなくちゃなんないのよーっ!」

 そんな2人の元に、牧草の束を積み上げながら秋道チョウジとアスマが声を掛けた。

「シカマルもいのも任務ちゃんとやろーよー」

「おらおら、手ぇ動かせー。サボってっと終わんねぇぞー」

 懸命に働く子供たちをそれぞれの担当指導者3人が見守り、指導してこその上忍師が下忍を育成するメリットであろう。

 しかし、どこらへんが懸命?
 誰が見守ってるって?
 指導してる?

 そう思われる方もいるだろう。
 事実、そんな場面ばかりが続くのである。

 それでも、何故か、日が暮れた頃に全ての任務が無事に終わった。

 なにゆえ終わったかと言えば、スチャラカなことをやらかす者の影で、きちんと任務をこなすマジメな子がいたからデス。
 
 
write by kaeruco。
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ