You'll never walk alone
□骨に願いを…
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8班の子たちと紅先生とか、サクラちゃんにいいところを見せたいナルトとか、チョウジくんとアスマ先生とか……。
決して話の展開の都合ではアリマセン。
決して!
しかし、平穏な任務の終了後に、事件は起こるのでアリマシタ。
牧場主の好意で、里に帰るには遅い時間に任務を終えた下忍たちは牧場に1泊することとなった。
そして今、空腹の子供たちの前に並んでいるのは心づくしの夕食である。
農園で取れた焼きじゃがいもに手作りバター、数種の温野菜にゆで卵、丸ごとこんがりと焼かれたチキンといったシンプルでボリュームのある品々。
それらを前にお預けを食ってうずうずとしている子供たちの姿に苦笑を覚えながら、牧場主が声をかけた。
「今日はご苦労様でした。さあ、どうぞ召し上がってください」
「「「いっただっきまーすっ!」」」
元気すぎる3つの声にかき消されたが、きちんと全員(もちろん、上忍たちも)いただきますと手を合わせて食事にかかる。
そして、キバの足元でマテの姿勢で待つ赤丸にも声が掛かった。
「赤丸、ヨシッ」
「ワワンッ!」
挨拶は社会生活においての基本である。
ここいらへんの礼儀が妙に正しいあたりが、木ノ葉の忍びが支持される所以かもしれない。
いや、礼儀正しいのは挨拶だけで、食卓の一角は殆ど戦場であったが……。
「チョウジっ! 人の皿からとるんじゃねえっ!」
「あーナルト、野菜も食っとけよ。サスケもよく噛んでな〜」
「立派な保父さんが2人もいると楽ねえ〜」
とりあえず上忍たちの一言から、どんな惨状であったか想像しておいてクダサイ。
まあ、牧場主がチキンを切り分けながら、普通の子供となんらかわりのない下忍たちにこんな話をしたのも、そういった気安さからだったのだろうか。
「鳥の鎖骨がハートの形をしているのを知っているかい?」
一番近くにいたヒナタが小さくいいえと返事をした。
「その骨はね、願い骨って呼ばれているんだよ」
「願い骨、ですか?」
「この骨の両側を2人で引っ張って、割れたときに大きいほうを手にしていた人の願いが叶うって言われてるからね」
ちょうどここだよ。
そういって牧場主はヒナタの皿に願い骨のついた胸肉を取り分ける。
そしてモモ肉はシノとキバに、手羽を赤丸の皿に入れてやった。
「食べたら、願い事をしてごらん。どら、次の願い骨は誰のものかな〜」
次々にチキンを解体して、願い骨はいの、サクラと女の子の皿に取り分けられる。
これはまさに、メルヘンゲットのチャンスであった。
サクラといのはサスケと、ヒナタはナルトと願い骨を引っ張り合いたい。
大きい破片を取れれば自分の願いが叶うし、そうでなくとも相手の願いが叶うのならOKだ。
自分以外の人間とのメルヘンを願わなければNO問題。
しかし、一度自分が(肉をそぎ取るために)口をつけた骨を相手に触らせるのも、年頃の女の子としては複雑なものがあった。
「くぁーーーっ! チョージッ! オレの肉〜っ!!!」
「ぼやっとしてるからだろうが、ドベ」
「チョウジよー、メシをバトルにすんじゃねーよ。後がめんどくせえだろーが」
その間にテーブルの反対側では、ナルトが惨敗しせっかく取り分けてもらった鳥モモをチョウジに奪われている。
write by kaeruco。
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