You'll never walk alone
□骨に願いを…
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ヒナタはとっさに自分の皿を持って、ナルトへ歩み寄った。
「あの、ナルトくん……これ、よかったら……」
「えっ? いいのかよっ! あ、でも、ヒナタの分だろ?」
「……あの、だってナルトくん、すっごくオナカすいたってずっと言ってたし……」
そのやりとりを目にした途端、サクラといのの目が光る。
───ナイスよっ! ヒナターッ! しゃーんなろーっ
───そ、その手があったのねーっ!
自分が口にした物を相手に渡すのは気が引ける乙女たちでも、逆に相手が口にしたものとなれば話は別だ。
───サスケくんが噛んで舐めてしゃぶった骨ーっ!
───そんなもんワタシが丸ごとしゃぶって噛み砕いちゃいたいわーっ!!! しゃーんなろっ!
元々なのか、それとも担当上忍に毒されたのか、内なるサクラはかなり危険な発言をしている。
第一、噛み砕いてしまったら願いも何もあったものではない。
そうこうしているうちに、ナルトはヒナタから肉を分けてもらい、ヒナタはちゃっかりそのままナルトの隣りに居座った。
ナルトの向こう隣でサスケがますます仏頂面になって、黙々と食事を続けているのも知っていて。
意外に黒いヒナタに内心で驚きながらも、サクラといのは考える。
自分たちはどうやってサスケに自分の分を渡すか。
当然ながら、サスケはチョウジに肉を持っていかれたりはしていない。
ナルトの隣りにヒナタが移動してきたところから自棄食いのような健啖家振りだ。
チョウジと競うように、目の前の茹で野菜をもりもり平らげていく。
───うふふっ! 恋する乙女にはこの手があるじゃなーいっ
───女の子の究極奥義発動よ! しゃーんなろーっ!
「「サスケくんっ、これも食べない? ワタシ、ダイエット中でー」」
「じゃあボクが貰う」
「「黙ってろっ! デ」」
「いのっ、サクラっ、それ禁句。チョウジも、人の分は食うな」
口の前でバッテンを作り、シカマルが3人を制する。
「あら、保父さんが3人になってる〜」
「……紅。その言い方ヤメロ」
「やーもう、コイツらの相手してると、つくづくイルカ先生って偉大だって感じちゃうよーね」
「確かにな。だが、ここでイルカの話ってのは脈絡がねえぞ」
「オレはいつだってイルカ先生のコトしか考えてなーいよ」
とても問題のある上忍の大問題な一言はきれいに無視して、下忍たちは自分たちの食事と願い事に集中していた。
そしてついに、嬉しそうに肉をほおばるナルトの手にV字型の骨が。
「あ、あのね、ナルトくん……その骨は願い骨っていうんだって……そ、それでね」
きっと牧場主の話など聞いていなかったナルトに、ヒナタは聞いたとおりの話をする。
「その骨を、2人で引っ張り合って割って、大きな骨を持ってた人の願い事が叶うんだって」
「本当かってばよ、それ! んじゃあ、さっそく〜」
1人で願い事を念じながらその骨を割ろうとするナルトに、横合いから繰り出されたサスケのかかと落としが決まった。
「1人で割ろうとすんじゃねえ、ドベ!」
「ってーなっ、なにしやがるサスケてめっ!」
「そいつの話聞いてなかったのか、このウスラトンカチ。2人でって言っただろうが」
「あ? そうだったけ?」
「貸せっ」
サスケは躊躇なくナルトがしゃぶりついていた願い骨の一端を握り、力を込める。
とっさに、張り合うようにナルトも握っていた骨を引っ張った。
write by kaeruco。
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