You'll never walk alone
□ダンデライオン
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「ヒナタっ、心配すんなって! コイツってばさー、もーすぐたくさん飛んでって、そこいら中にまた咲くんだってばよっ」
その笑顔に、ヒナタのも明るい微笑みを浮かべた。
それから2人で掘り返した土を元に戻し、並んで帰り道を歩きだす。
ナルトがヒナタを送ると言ったのだ。
道々交わす言葉は、ナルトが日々の話を一方的にまくしたてては、時々同意を求める。
それにヒナタが小さくうなづき返すぐらいのことだった。
それでも、2人とも楽しかったのだろう。
ヒナタの家が近付くにつれ、歩みが遅くなっていく。
そしてついに、ヒナタの足が止まった。
「ん? どーしたってばよ」
「……ナ、ナルトくんっ……」
「ん?」
「……あ、あの……ありが、とう……」
ぺこんとおじぎをしながらそう言って、ヒナタは自宅へと駆け出した。
本当は今日の──タンポポを無理に掘り返さずにすんだことや、それを責めずに優しいなと笑ってくれたこと、ここまで送ってくれたこと。
一つ一つのことが、どれだけ嬉しかったのかを伝えたかったのに。
泣きそうなヒナタの背に、ナルトの声がかかる。
「またなーっ! ヒナター!」
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2004/10/10
UP DATE:2004/10/10(PC)
2009/11/05(mobile)
【dandelion】蒲公英[花言葉:思わせぶり]
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