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□季節のカカイル
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夏のおはなし
にじいろ「イルカせんせー」
窓の外を見上げて指し示す先、残照に複雑な色味となった空に、夕立の虹が掛かっていた。
「あれって何色?」
空は赤く暗く、青く褪め、紫立って斑になっている。
そんな背景に掛かる虹は両端の色が霞んで見えた。
「なんか、微妙な色合いですよね」
丹、紅、赤、茜、朱。
知っている限りの色を口にしては指を折っていく。
橙、黄、山吹、浅黄、萌黄、緑、常盤。
7色と言われる虹。
地方によっては3色、5色とも言われている。
けれど、それは何百という色が重なってそう見えているだけだ。
あれは光が分解されたものなのだから。
はなだ、青、瑠璃、藍、紺、紫。
まだ指を折っている姿が微笑ましくて、背を抱いてやる。
「あれは虹色ですよ」
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2005/07/08
UP DATE:2005/07/14(PC)
2009/01/27(mobile)