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□季節のカカイル
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夏のおはなし
 
星が掴める距離



 見上げた空には星が瞬いている。

 なんとなく手が届きそうで、だるい腕を上げてみた。

 けれど、窓ガラスに触れることもできない。

 もちろん、星になど届きはしない。

 力を失って落ちる腕が、自身の思いのほかの落胆を示しているようだ。


「どうしました?」


 傍らの声は眠たげ。

 起こしてしまったという申し訳なさに、落ちかけた腕で触れた。


「いえ、星が掴めそうだったんで……」


「へえ」


 寝ぼけた声は酷く嬉しそうに響く。


「オレは星を抱いてる夢を見てましたよ」

 
 
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2005/07/08
UP DATE:2005/07/14(PC)
   2009/01/27(mobile)
 
 
季節のカカイル

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