拍手倉庫

□ボクの先生はヒーロー
2ページ/42ページ



僕の先生はヒーロー
 
1 静かなる序章



 深夜の木ノ葉隠れの里の外れ。

 誰に知られることなく、それは舞い降りた。

 光り輝く物体。

 巨大な、乗り物のようなもの。

 天空より舞い降りた光は、森へ入り込むと、フ……とその姿をかき消した。

 人は、誰もそのことに気付いていない。

 森は、静かにその姿を横たわらせているだけであった。

 そして、その日から謎の失踪事件が相次ぐようになったのである。


 * * * * *


 任務受付所。

 木ノ葉隠れの里への依頼を一手に引き受てランク分けし、実力に見合った者を任務に着かせる──里の中枢とも言える場所だ。

 ここは常に多くの依頼人と任務を受ける忍び、そして任務を終えて報告に来る忍びで賑わっている。

 だが今朝の惨状に、3代目火影も唖然と室内を見渡した。

「いったい、どうしたことじゃ……」
 
 受付所には依頼され、割り振りや報告を待つ任務の記された書類、巻物が多く置かれている。

 それが何者かによって散乱していた。

 一応、受付所には常時、係りの者が居るきまりにはなっている。

 けれど、明け方に係りの者がほんの少し席を外した間に、荒らされていたのだ。

 勿論、ことが発覚した直後から何者による仕業なのか調査が、そして同時に散乱した書類の整理も始まっている。

 だが、異変はそれだけでなかった。

 受付所に朝から多くの人々が詰め掛けてきている。

 その殆どは家人が行方不明になったので探して欲しい。

 いつの間にか家の中が荒らされていたので、犯人を掴まえて欲しい。

 もしくは片付けるのに下忍の手を借りたい。

 そういった依頼を処理していくうちに、その任務をうけるはずの忍びも何人か姿を消していることが分かったのだ。

「これは一体、どうしたことじゃ……」

 今朝から立て続けに報告される異変に、3代目火影は首を傾げる。

 これほど多くの者が一度に里を抜けるようなことは、かつてなかった。

 第一、姿を消した者同士に関係や面識はないように思える。
 
 それに受付所の他はあまり重要でない場所ばかりが荒らされていたりすることも不可解だ。

「イルカよ」

 3代目は自らの傍らで荒らされた場所をチェックしていた中忍へ呼びかける。

「ここはお主に任せる。何か分かったら、知らせてくれ」

「はい」

 姿勢を正した返事を背に、火影は自らの執務室へと戻っていった。

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2005/10/31
UP DATE:2005/11/14(PC)
   2008/12/05(mobile)
 
 
ボクの先生はヒーロー

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ