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□ボクの先生はヒーロー
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僕の先生はヒーロー
 
4 存在の証明



 本日のカカシ班集合場所は貯水槽前。

 だが、集合時間直前になっても、サスケのほかには誰も姿をみせない。

 いい加減、担当上忍であるカカシの遅刻癖にも慣れたのか、近頃はサクラとナルトまでもが結構ぎりぎりな時間に現れるようになっていた。

 今日もそろそろかと思っていたところへ、サクラの気配が近付くのに気付き、サスケはそちらへ視線を向ける。

 まだ時間前で、カカシどころかナルトも来ていないのだからそう慌てることもないはずだ。

 だが、駆けてくるサクラの様子がおかしい。

「サスケくんっ! よかった……ナルトは?」

「まだだ。……何か、あったのか?」

「え、あの……」

 漠然とした疑問のまま問い掛けてくるサスケへ、どう答えていいものかサクラは言いよどんだ。

「サクラ、何があった」

 急に両親がいなくなったことは、サスケには言い出しずらい。

 それに、一体何が起こっているのかは、何も分かっていないのだ。
 
「……あの、ね……」

 それでも、意を決して伝えるべき事だけでもと言葉にしかけた瞬間。

「よっ!」

 初めて、集合時間前に担当上忍が姿を現したのだ。

「カカシ……」

「カカシ先生っ!」

「なんかあったみたいね、サクラ?」

 いつもこの時間に来いという罵倒も無く、どこか縋るようなサクラの様子を察したのだろう。

「もしかして、ご家族が消えた?」

「なんで、それを……」

「んー、ちょっと里中で起こってる事件があってねえ。そーれを調べるのが今日の任務ーなんだけど……ナルトは?」

 いつもの飄々としたのとは違うカカシ。

 そして不安げなサクラを見比べ、サスケは嫌な予感を覚えながら呟いた。

「まだだ。ナルトはまだ、来ていない」

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2005/11/07
UP DATE:2005/11/14(PC)
   2008/12/05(mobile)
 
 
ボクの先生はヒーロー

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