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□ボクの先生はヒーロー
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僕の先生はヒーロー
 
20 神の見えざる手



「サスケ、シノ、キバ、チョウジで前衛小隊。リーダーはサスケだ」

 シカマルの指示にサスケは小さく、ああ、と承諾する。

「キバにゃ先頭任せる。チョウジは殿(しんがり)な。シノは状況や指示を伝えてくれ」

 一瞬、不満を漏らそうとしたキバは任せておけと胸を張った。

 チョウジはわかったと、シノも了承したと呟いて頷く。

「残りで後衛小隊。リーダーはオレでいいな」

 めんどくせえけど、という言葉を含ませるシカマルに3人の少女たちはそれぞれ、わかったわ、癪だけどね、うん、と同意を示す。

「作戦は単純だ。後衛で道を作って、前衛を送り込む。後は互いにフォローしながら人質を奪還して脱出」

 いいな、とシカマルが仲間たちを見回せば、一斉に頷きが返った。

「さて、と。ヒナタ、アレ『視(み)』てくれ」

 すばやく印を組み、《白眼》を発動させたヒナタは目にした状況を報告しだす。
 
「……はっきりしないけど、大きさは……里の半分を覆うくらい」

「入口みたいなもの、分かるか?」

「表面は、見えない。でも、底部に換気抗みたいな、場所がある」

「位置は?」

「仰角36度、2時の方向を中心に12箇所。でも、回転してる」

 言いながら、ヒナタの足がリズムを踏んで回転速度を計っている。

「いの、サクラ」

「分かってるって」

 音感のないシカマルに促される前に、いのはヒナタの刻むリズムに同調していた。

 ヒナタといののリズムを耳で拾いながら、サクラは敵のいるとされる位置へ目を向ける。

「結構、早いわ。距離を考えると、普通に跳んだんじゃ無理ね」

「大丈夫よ。チョウジー。ちょっと来てっ」

 楽しげに手招くいのの微笑に、チョウジは嫌々ながら少女たちの密談の輪に加わった。

 そして整った用意に、少年たちは絶句した。

 部分倍化の術で両腕を巨大化したチョウジの体にロープを幾重にも巻きつけた姿も異様。

 だが、それ以上に、彼の足を持ち、ぐるぐるとぶん回し始めるサクラになんの意味があるのか。

「タイミング合わせて、サクラが換気抗にチョウジ投げるから」
 
 いのの発想はなんとも豪快だ。

 見ている少年たちは言葉もない。

「今」

 短いヒナタの合図に、いのが発破をかける。

「いっけーぇっ、デコリンっ!!!」

「しゃーっンなろーっ!!!」

 気合一喝。

 サクラの雄たけびと共に、丸々と膨張したチョウジの体が投げ出される。

 はるかへ消え去る仲間の姿に女って怖え、と認識を新たにする間もなく、シカマルたちの前にはロープが伸びてきた。

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2006/06/05
UP DATE:2006/07/13(PC)
   2008/12/07(mobile)
 
 
ボクの先生はヒーロー

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