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□キャンディード
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キャンディード
 
日向家の一族



 3月14日。
 ホワイトデー。

 木ノ葉隠れの里きっての名家、日向一族の男はこの日に己の器量を示さねばならない。

 先月、彼らにチョコレートを渡した全ての女性を対象に。

 例えば日向宗家の主、ヒアシはこの日一日、妻子のためにだけこまごまと世話を焼く。

 朝食は自身が作ってから妻や子を起こし、共に食す。

 昼には老舗料理屋から弁当を取り、景色のよい庭を愛でながら会話を楽しむ。

 その後、家族揃って買い物へ出かけてそれぞれに贈り物を買い、夕食をしたためるのだそうだ。

 もちろん、その他の女性へは一人一人に手ずから一筆を添えた極上の贈り物を手配しての上で。

 なんともマメなフェミニスト一族。

 だが、そんな中にも例外は存在する。

 それが、ネジだった。

 一族総出のイベントに反対というワケではない。

 ただ単に、他の一族の男たちのように自分も楽しんで、女性たちに尽くすには羞恥心と理性が勝ちすぎるようだ。
 
 けれど、今年は色々と思うところがある。

 これまで宗家と分家のあり方にわだかまりを抱いてなおざりにしてきたこのイベントこそ、自身が抱く感情を多少なりとも清算する好機なのだ。

───だが、どうする?

 自室で瞑想に耽る体で、ネジは苦悩していた。

 これまで疎遠にしていたせいもあって、宗家の女性陣についての情報など何1つない。

 いや、1つだけ分かっていることは、あるにはあった。

───果たして、協力してもらえるだろうか……

 考えに考え、結局ネジは1つの結論に達した。

 協力を得られるか分からないなら、有無を言わせず巻き込んでしまえばいいのだ。

 そしてホワイトデー当日、ネジはとある下忍の元を訪れる。

 ヒナタを喜ばせる為だけにネジが利用せんとしたその忍の名は、うずまきナルトという。

 
ショコラ 〜 少女時間 ヒナタ
……の後日談でした。

WRITE:2005/03/07
UP DATE:2005/03/20(PC)
   2009/03/08(mobile)
 
 
キャンディード

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