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□プレゼント
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プレゼント
〜イル誕2009〜



きっかけ
〜14才〜



「ね、」

 声をかけると驚いた目が真っ直ぐに見つめ返した。

「ちぃっと、装備都合して貰える?」

 改めて額当てを確認すれば、間違いなく味方。
 ま、こんな里外で接触することなんてめったにないんだけど。

「任務帰りに救援入っちゃったんだけどさ、装備が心許ないのよ」

 言い訳めいた事情説明しながら、相手を更に観察する。
 額当てはしているが、忍者というより、その辺のイタズラ小僧だ。

「忍具はいい。食料と、応急キットに余分があれば分けてくんない?」

 下忍か、新人中忍というところか。
 任務中なようだが、さして危険のないDランクだろう。

「すみません、オレ、任務というか、お使いの途中で……」

 そう言われ、落胆しかけた鼻先に未使用の応急キットが差し出される。

「えっと?」

「応急キットは多分、使わずに済むので、差し上げます。食料は……」
 
 背負ったバッグから取り出したのは、竹皮に包んだ握り飯だった。

「こんなものしか……」

 これはいくら自分でも気が引ける。

「いいの? 貰っちゃっても」

「ええっ、でもっ、いいんですか?」

「なにが?」

 自分の食い扶持に毒を仕込むなんてまず有り得ないから、そこらで調達するよりよっぽど安全。
 そんな考えで、目に留まった同朋の食料を頂こうって腹なのに。

「だって、オレが……」

「アンタが握ったの?」

 だったら、ますます安心な気がする。
 味なんか、どうでもいいんだし。

「有り難く、頂きます。んじゃね」

 貰った物をポーチにしまい、近くの枝へ飛び上がった。

「あ、あのっ!」

「3代目に、補充手当て出してって言っとくからね〜」

 言い捨てて、救援へと走る。
 いやその前に、この握り飯をどこで食おうか。


 
【続く】

WRITE:2009/05/26
UP DATE:‐/‐/‐(PC)
   2009/05/27(mobile)
 
 
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