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□プレゼント
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プレゼント
〜イル誕2009〜



お土産
〜16才〜



「お土産です」

 中忍として初めて隊を率い、長期の潜入任務を完遂した子は微笑んで告げおった。

「任務はちゃんと、やり遂げましたよ」

 とある豪商の様子を伺い、逐一報告を入れる。
 簡単なようで気配りの難しい、大変な任務であったろう。
 なのに、刻み煙草1袋とは言え土産とは。

「拠点として潜り込んだ煙草問屋で、変に見込まれてしまいまして……」

 困り果てた口振りから、任務を終えて店を去る際には随分と熱心に引き留められたのだろう。
 物覚えが良く、真面目で愛嬌もある子だ。
 わざわざ忍という血生臭い生業に身を落とさずとも、客商売でも十分やっていける。

「私が刻んだ物なので、火影様のお好みとは違うでしょうが……」

 粋な縞の煙草袋から漂う香は、とても良く吟味された葉だと分かる。

「報告は受けておる」

 これだけの物を扱わせるのだから、あちらの信頼も大変なものだ。

「良い働きだったそうじゃな」
 
 早速、煙管の灰を落として土産の煙草を詰め、火を移す。

「うむ」

 細かく均一に刻まれた葉は火着きも良く、飲み込んだ煙は柔らかだ。

「良い土産を貰ったわ」

 わずかの間に家人の信頼を得、これだけの技術を習得する。
 実に重宝。

「お主は良い忍じゃ」

 褒めれば素直に照れた顔を見せる。
 そのくせ、相手の仕草1つ見落とさずに報告を上げてくるのだから。


 
【続く】

WRITE:2009/05/22
UP DATE:‐/‐/‐(PC)
   2009/05/23(mobile)
 
 
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