拍手倉庫

□クリスマスまで待って
19ページ/20ページ



クリスマスまで待って

【5‐2】



 一方、その頃。
 カカシは帯人と倫を引き連れ、いつものファミレスで愚痴をこぼしていた。

「あれじゃ、どうやったって、なぁんにも進展ないじゃない」

 帯人の監修──という検閲によって大幅にアピールの欠如したクリスマス・カードに対する不満を吐き出し、まずコーラを一気飲み。

「カルピス」

 憮然とした一言と共に突き出したグラスは、いつものように帯人がドリンク・バーまで補給に走った。
 運ばれてきた揚げたての大盛フライドポテトに手を伸ばし、カカシは続ける。

「せめて、ケー番かメアド、書いとけばよかった」

「だよねぇ」

 カカシと一緒にポテトをもすもす口に運び、倫は同意する。
 だが、カルピスのグラスを手に戻ってきた帯人は違った。

「オマエはハナから押し過ぎなんだって。ちょっと控えめなほうが、興味持って貰えるって」

 違うか、と差し出されたグラスを受け取ったカカシは、まだ納得できない。
 
「そうかもしれないけどさっ」

「それに、今の状況でメアドなんか渡してみろ。絶対、妙な板に晒されるって」

 第一、と自分のジーザス・ブレンドをすすった帯人はずばりと言い放つ。

「第一、イルカ携帯持ってねえし」

「ウッソ、今時?」

「マジ。保護者会がでばるからな。本人が不便感じてねえ」

「じゃ、一体、どうやって連絡……」

 頭を抱えて悩み始めるカカシに、帯人の達観しきったお言葉が告げられた。

「来年のクリスマスまで待てば?」

 
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2009/12/30
UP DATE:2009/12/30(mobile)
 
 
クリスマスまで待って

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ