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□クリスマスまで待って
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クリスマスまで待って
【5‐2】 一方、その頃。
カカシは帯人と倫を引き連れ、いつものファミレスで愚痴をこぼしていた。
「あれじゃ、どうやったって、なぁんにも進展ないじゃない」
帯人の監修──という検閲によって大幅にアピールの欠如したクリスマス・カードに対する不満を吐き出し、まずコーラを一気飲み。
「カルピス」
憮然とした一言と共に突き出したグラスは、いつものように帯人がドリンク・バーまで補給に走った。
運ばれてきた揚げたての大盛フライドポテトに手を伸ばし、カカシは続ける。
「せめて、ケー番かメアド、書いとけばよかった」
「だよねぇ」
カカシと一緒にポテトをもすもす口に運び、倫は同意する。
だが、カルピスのグラスを手に戻ってきた帯人は違った。
「オマエはハナから押し過ぎなんだって。ちょっと控えめなほうが、興味持って貰えるって」
違うか、と差し出されたグラスを受け取ったカカシは、まだ納得できない。
「そうかもしれないけどさっ」
「それに、今の状況でメアドなんか渡してみろ。絶対、妙な板に晒されるって」
第一、と自分のジーザス・ブレンドをすすった帯人はずばりと言い放つ。
「第一、イルカ携帯持ってねえし」
「ウッソ、今時?」
「マジ。保護者会がでばるからな。本人が不便感じてねえ」
「じゃ、一体、どうやって連絡……」
頭を抱えて悩み始めるカカシに、帯人の達観しきったお言葉が告げられた。
「来年のクリスマスまで待てば?」
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2009/12/30
UP DATE:2009/12/30(mobile)