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□クリスマスの12日
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5 クリスマスの3日目The third day of Christmas
My true love sent to me
「イ〜ルカ〜せーんせーぇ」
今日も受付所に花の舞い飛ぶような上忍の声が響く。
流石に3日目ともなると、イルカもカカシの意図を完全に読み取っていた。
あの歌の通り恋人──イルカに、1日1種類、1つずつ数を増やして贈り物をするつもりなのだろう。
そう考えると、ため息しかでなくなる。
クリスマスにまず1つ、翌日に2つ、今日で3つ。明日は4つ、明後日は5つ。
これで合計15個。
果たして、12日目には全部でいくつのプレゼントを貰うことになるのか──基本的な数列の問題だけれど、考えたくもない。
第一、あのカカシのことだ。
歌の通り、12日でこの奇行をおしまいにするわけがない。
下手をすれば『オレの愛は12日を12回続けたって表現し切れませんっ!』などと頭のおかしいコトをほざいて、144日のプレゼント攻撃をしてくることだってありえる。
───ここはびしっと、迷惑だからやめてくれと言わねばっ!
そうイルカが決意し、口を開きかけた時である。
「今日のアナタへのプレゼントはモノじゃないんです」
カカシの言葉に、ほっとした途端、口付けられた。
「………っ!? 〜〜〜〜〜っ!! ーーーーーーーっ!!!!!」
3度。
強引に、角度を変えて、濃厚なキス。
数人の受付係やら忍やら火影やらのいる任務受付所で。
イルカから離れた瞬間にはもう、いつも通りの怪しい風体で何事もなかったかのように、にこやかにカカシは立っている。
「今日のプレゼントはThree Franch Kissesでーした」
にっこりと、これから任務なんで〜と言い捨てて姿を消した。というか、逃げられた。
カカシとイルカの熱烈なキスを目撃した者たちは恐慌状態に陥るか、放心してしまっている。もはや受付所は機能を停止している。
その喧騒の中心で、イルカは口元を覆い隠してうつむき、激しく後悔していた。
───……お、教えるんじゃなかったっ
よく軽いキスという意味で使われているフレンチ・キスという言葉が、本当はディープキスという意味であるコトを。
そして、同時に決意する。
もう一つの、もっとディープな意味は生涯、黙っていようと……。
───それは、
12月27日のことでした───