カカイル2
□Trick yet Treat!!!
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Trick yet Treat!!!
〜 10周年お礼:新作(その他) 〜「……一体、どういうこと、だってばよ?……」
日の暮れた木ノ葉で一番の繁華街に足を踏み入れたナルトは目の前を流れていく光景に呆然と立ち尽くす。
確か、今朝は何事もなく任務を請け負ったはずだが、夕方に報告書を提出に受付を訪れた時にいささか違和感を覚えた気がする。
カウンターに見慣れた恩師がいないのは、受付専任ではないと知っているから気にはならない。
ただ、顔馴染みとなった中忍たちの姿も見えない事を訝しく思っただけで、そんな事もあるだろうと気にしなかった。
そして夕飯を確保───というか、いつもの如く一楽でラーメンを堪能すべく、賑わいを増す大通りへと足を踏み入れてようやく異変に気付く。
「……なんで、大人がいねぇんだ?」
宵闇にネオン看板が燦めく繁華街は一仕事終えた大人たちがその日一日のお互いを労い合ったり明日への英気を養うという名目で、美味いとも思えない酒を飲んだり飲まれたり何が楽しいのか分からないが若いお姉ちゃんがちやほやしてくれる店に繰り出す。
それがいつもの光景だった。
なのに今夜は鮮やかなオレンジ色を主体に黒や紫の色彩で装飾された通りを、奇妙な扮装をした子供ばかりが列をなして歩いている。
皆楽しそうにしているし、通りに建ち並ぶ店も活気付いているから祭りなのかもしれない。
けれど一体、なんの祭りなのか。
「よお、ナルトじゃねえか」
馴染んだ声より少し高い呼び掛けに、恐る恐る振り返る。
そこには、かつては共に馬鹿をやっていたイノシカチョウトリオが2組、奇抜な格好をして並んでいた。
「……な、ななななななななななななんでぇーっ!? なんで、お前ら2人ずついんだってばよーっ!!」
「……うっせえなぁ。おい、ナルトよぉ。他人様を指差すんじゃねえ……」
「そうだよねえ。ナルトくんこそ、事あるごとに《多重影分身》だもんねえ」
最もな事を指摘されてナルトは疑問の1つを無視する事にする。
だが、加わった違和感については正直に口にした。
「……な、なあ、いの。シカマルもチョウジも、なーんかオッサン臭くね?」
「ははは。いのちゃんとオレはそんなに似てるかい、ナルトくん?」
「ちょっとナルトーっ!? なんでアタシとパパを間違えんのよアンタはーっ!」
やたらと嬉しそうにニコニコ笑顔で男言葉ないの(黒のゴスロリミニドレス)の隣で、内なるサクラばりに激昂している凄まじい表情のいの(紫の甘ロリミニドレス)。
2人の言葉を理解したナルトは、固まる。
「………………は?」
そんなナルトへ穏やかに微笑んでスナック菓子を食べているチョウジ×2(緑色と橙色の丸々としたカボチャ)。
彼らは見間違われても気にしないらしく、そのせいか余計に見分けられない。
「…………え?」
両極端な4人の間に並んで立ち、額を押さえていため息を吐くシカマル(継ぎ接ぎ人造人間)と、呆れと苦笑が半々の複雑な表情をしたシカマル(継ぎ接ぎ人造博士)。
はっきり言って顔形は双子かというくらい似ているのに、それぞれの表情や醸し出す雰囲気がまるで違う。
write by kaeruco。
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