カカイル2

□ホーム・スイート・ホーム
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ホーム・スイート・ホーム
〜 Home Sweet Home 〜
 



「イルカ先生〜っ! 飯食わせてくれってばよーっ!!」

 休日の昼下がり、アカデミー時代の恩師であるうみのイルカ宅へ突撃したうずまきナルトを出迎えたのは、かなり真剣な表情で口元に右手の人差し指を立てたもう1人の恩師───はたけカカシであった。

「……なあ、カカシ先生。それってば、新しい印かなんかか?」

「……静かにしなってジェスチャーでしょうが、どう見ても。イルカ先生がお昼寝してんの」

「ふーん。じゃ、おっ邪魔しまーすっ」

「あ、コラッ。……はぁ、仕方ない……」

 遠慮なく上がり込むナルトを台所の一隅に据えられた2人掛けの食卓に座らせ、カカシは水を張った小鍋を火にかけると冷蔵庫から食材を見繕い、軽快に野菜を刻み始める。
 
「せんせー。オレってばー、野菜嫌いなんだけどー」

 などという子供じみた訴えは無視して、逆に問い返す。

「お前こそ、どーした?」

 以前こそ月に一度はイルカにラーメンを奢って貰っていたナルトだが、先日晴れて日向ヒナタと所帯を持ったばかりだ。

 木ノ葉隠れの里で随一の名家とされる日向家のお嬢様ながら、アカデミーの頃から一途にナルトを想ってきたヒナタは日々の家事も楽しそうに取り仕切っている。
 なので休日の昼時に愛する旦那様に食事も用意せずにいるとは思えない。

「ヒナタは日向家の集まりで朝から実家ー」

「で?」

「たまにはイルカ先生と飯食おうと思ってー」

 なるほど、朝早くからの招集に一応気を使ったナルトはラーメン屋にでも行くからと用意をさせずに奥さんを実家へ送り出したらしい。

「……そこでイルカ先生にたかりに来るのがお前らしいね……」

「そっかぁ? でさー、カカシ先生? イルカ先生、昼寝って?」

「お疲れなのよ。……半分は、お前のせい、とも言えるがな……」
 
 第4次忍界大戦で活躍したナルトらをアカデミー時代に担当したイルカは教え子達が英雄として語られるにつれ、各隠れ里の育成に関わる者達の間で知名度と評価が飛躍的に上がっている。
 最近では通常のアカデミー業務の合間に他の里の教育関係者と意見交換をしたり、長期休暇には請われて他の里へ視察に出向いたりしていた。

 そういう意味で、イルカが忙しいのはナルトの影響だとカカシは告げる。
 だが、元教え子が言及したのはそれではない。

「もう半分って?」

「ま、オレのせーだぁねーぇ」

 少しも悪びれず愉快そうに笑うカカシへ、ナルトは無言のまま蔑みの目を向ける。
 何があってお疲れなのか、分かってしまう年齢となった事が恨めしい。

 そんな会話の間もカカシの手は動きを止めず、小鍋に沸いた湯に千切りした数種の野菜をどっさりと投入し、冷凍保存してあった餃子と中華スープの素を入れて煮立たせた。
 並行して大きめのフライパンでみじん切りにした野菜とベーコンを炒め出す。

「おー。カカシ先生、料理できたんか」

「当たり前デショ」
 
 
write by kaeruco。
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