カカイル2

□悪夢の童話
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悪夢の童話
〜 Nightmare Tales 〜



赤ずきん



 黒い森の奥深く──木ノ葉隠れの里に、カカシという見るからにやる気のなさそうな男が暮らしておりました。

 カカシはいつもずきんで顔を隠しています。
 普通、カカシずきんと呼ぶところですが、面倒くさいので『カカシ』と呼んでいたのでした。

 ある日のことです。
 カカシの面倒を見ている4代目火影様(通称:四様)が、カカシにお使いを頼みました。

「森の奥に暮らしている3代目がお風邪を召されて寝込んでるんだ。お見舞いにチーズとワインを届けておいで」

 病人へのお見舞いにそれはどうかとも思いましたが、四様には逆らうこともできません。

 カカシはチーズとワインを入れた籠を手に、黒い森へと歩き出しました。

 背に、四様の忠告が掛かります。

「間違っても寄り道をしたりしてはいけないよ。特に、狩人さんの仕事の邪魔をしたらお仕置きだからね」
 
 その言葉に異様な威圧感も感じましたが、カカシは気にせず、先へ進むことにました。

 しばらく行くと、カカシは(狙い通り)狩人のイルカと出会いました。

「こんにちは、カカシさん。お出かけですか?」

 イルカは笑顔で声をかけてくれました。

 イルカは狩人なのですが、弓矢も銃も持ってはいません。
 彼には無敵の笑顔がありました。
 その笑顔に心を打ちぬかれた森の動物たちだけでなく、木ノ葉の里の人々から毎日様々な贈り物(という名の生活必需品や食料)が届けられていたので、生活に不自由はまったくしていないそうです。

 もちろん、カカシもイルカが大好きでした。

 ただその気持ちが相当邪で、ストーカー行為も働いていることは公然の秘密(つまり、バレバレ)です。

 それでも、精一杯の見得と虚勢で自制心を総動員し、カカシはイルカに好印象を与えられるように、できるかぎりさわやかな笑顔で答えます。

「4代目のお使いで、3代目へお見舞いを届けるところなんですよー」

「そうですか。森には危険な狼もいますから気をつけてくださいね」

「はーい。……ってアナタこそ気をつけてくださいよー」
 
 そんなカカシとイルカの話を、近くの薮から狼の大蛇丸が聞いていました。

 大蛇丸は常日頃から3代目と4代目を亡き者にせんと企んでいたのです。
 このチャンスを逃す大蛇丸ではありません。

 まず先回りして弱っている3代目を、そして訪ねてくるカカシをしとめ、最後にカカシの振りをして4代目に近付いて隙をみて……。

 一瞬でそんな算段をし、大蛇丸はいそいそと3代目の家へと向かいました。

 けれどそんなコトは知らないカカシは、自分の用事はさておいてイルカを送っていくことにしました。

 何故なら森の動物やケダモノたち、さらには里の人々までもがイルカを狙っている(とカカシは思い込んでいる)のです。

 遠慮するイルカを連れ去るような勢いで、カカシはイルカの家へ向かいました。

 一方、大蛇丸は3代目の家へ着くと、扉を叩き、カカシの声をマネてこう言いました。

「3代目、カカシです。お見舞いを持って参りました」

「おお、お入り。開いておるぞ」

 3代目は大蛇丸だと気付いていないのでしょう。
 あっさりと家へ入れてしまいました。

 大蛇丸はほくそえみ、3代目へ襲いかかろうとしたのです……が。
 
 
write by kaeruco。
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