カカイル2
□WHITE CLOWN
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WHITE CLOWN
〜 nartic boy 2,222hits〜 うららかな日差しの差し込む廊下を、はたけカカシが颯爽と歩いていく。
通りかかったくのいちはうっとりと彼を見やり、立ち話をしていた中忍たちは憧れと尊敬の目を向けた。
カカシは額当てと口布で顔の殆どを覆い隠してしまっているが、多くの女性たちに美形だと噂されている。
多分、覆われていても分かる顔のシルエットから。
そしてすらりとした長身で、鍛えられてもいる身体つきも、そう思わせるのだろう。
ただ重力に逆らって無造作に立ち上がった白銀の髪と、唯一覗く眠たげだけれど怜悧な輝きを湛えた灰青色の右目だけでも、人目をひく容姿だった。
それでいて誰に対しても穏やかに、礼儀正しく接するとなれば、女性たちの心を騒がすには充分だろう。
けれど、カカシはそれだけの男ではない。
木ノ葉隠れの里が誇る上忍であり、写輪眼のカカシとして他国にも名の知れた優れた忍。
それこそがカカシ本来の姿だ。
幼い頃から才能を発揮し、まだ若いながらも多くの経験を積んでいる。
さらには、うちは一族にのみ伝わる写輪眼を駆使し、千もの術を会得したとも言われるエリート中のエリート。
それでいて奢ったところはなく、勤勉で修行も怠らない。
任務にあってはその完遂を目指すのは勿論、決して仲間を見捨てないという。
多くの人間の目をひきつけておきながら、それに迎合も怯みもしない。
そして、これまで培ってきた経験と実績は、そのまま敵からの畏怖と里からの信頼として。
忍として、男として、誰もが憧れる男。
それが、はたけカカシだった。
カカシは任務報告所のドアを開ける。
中央に置かれたソファに座る知人へ軽く視線で挨拶を送りながら、カカシは受付カウンターへと歩み寄った。
記入を済ませていた報告書をカウンターへ差し出すと同時に、朗らかな声と笑顔がカカシヘ向けられる。
「おかえりなさい、カカシさん」
「はい。お願いします、イルカ先生」
「お預かりします。確認をさせていただきますので、少しお待ちください」
そう言ってイルカは再び微笑み、受付けの男は受け取った書類のチェックを始める。
カカシと彼──うみのイルカは近頃、下忍に昇格した教え子を通して知り合ったばかり。
上忍として里の外を飛び回るカカシと、里のアカデミーで子供たちを指導する中忍のイルカでは接点がなかったせいだ。
それでも今は、妙に気があったのと、複雑な事情を抱える教え子たちのこともあって、階級差を越えて親しい付き合いをしている。
行き逢えば挨拶を交わして時間があれば雑談をし、たまに食事を共にしたり、飲みにもいく。
すばやく、けれど丁寧にカカシの報告書の確認を終えたイルカは顔を上げ、にこりと微笑を浮かべた。
「報告書を受領いたしました。これにて任務終了となります。ご無事でなによりでした」
「ありがとうございます」
イルカの微笑みに、カカシも柔らかな笑みを返す。
そんな2人の表情に様々なため息を漏らす周囲に気付かず、カカシは報告書と依頼書に受領印を押し、他の処理済の山へ仕分けるイルカの手元を見つめていた。
「イルカ先生」
「はい?」
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