カカイル2
□Indecent Proposal
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Indecent Proposal
〜 意地悪な遊戯 〜
〜 nartic boy 14,000hits 〜「ま、レクリエーションと思って、楽しんでやっとくれ」
お気楽な5代目火影の言葉で、集まっていた木ノ葉隠れの忍びたちは指示された卓へと向かう。
1つの卓に集まるのは上忍、特別上忍、中忍が9名。
それと審判役の新人中忍か長く下忍をやっている者が1名。
里に常駐する教師や上忍師を中心に集められた彼らが囲む卓に用意されているのは、アカデミー教材として作られたカードゲームが一式。
要は新たな教材の試用に手が空いている(と思われた)上忍や特別上忍と、アカデミーに関わる者が呼ばれたのだ。
このゲームの原型となっているのは、一群に紛れ込んだ人狼やマフィアを会話や状況から推測する遊びだ。
けれど話術や詐術を駆使して心理戦を仕掛け合う戦略性の高いゲームが元である上に、アカデミー生に戦闘だけではない忍の任務を擬似的に体験させる目的でより複雑に改編されている。
いかに歴戦の忍といえど、そうそう遊び感覚ではできないだろう──というのが、開発チームの弁だ。
「あ、イルカ先生」
「よお、サクラ」
イルカの配置された卓では元教え子のサクラが遊び方の概要を箇条書きにした用紙などを揃え、待ち構えていた。
この卓の担当は彼女なのだろう。
先年から5代目火影に師事し、医療忍として頭角を表してきたサクラは顔見知りが多いようで、卓に集った忍の殆どと親しげに挨拶を交わしていく。
任務受付とアカデミーを兼務するイルカは彼女以上に顔が広く、同じ卓につく全員を見知っていた。
特に同僚たちとは挨拶もそこそこに雑談を始める。
だが、周囲の卓は既にゲームが始まっているけれど、この卓だけはその様子がない。
「サクラ、始めないのか?」
「そうしたいんですけど……」
手にした名簿に視線を落として溜め息を吐くサクラの表情で、どうやらまだメンバーが揃っていないのだと分かる。
卓に1つ空いた席を指し、仕方ないといった風情で彼女は呟いた。
「カカシ先生が」
「あー」
普段の任務でも支障のないギリギリの範囲で遅れ、下忍演習などでは教え子たちを半日近く待たせていたカカシ。
この余暇というか余興のような招集に時間通り現れていたら、それはそれで腹が立つ。
けれど、だからと言って遅れていいとも思えず、どうしたものか、とサクラはイルカと顔を見合わせた。
そこに、背後から暢気な声がかかる。
「おや。サクラとイルカ先生がご一緒でしたか」
「もー! カカシ先生、遅ーいっ!」
「あー、すまんね。今日は、」
「アナタの遅刻癖は周知の事ですから、言い訳するよりさっさと席に着いてください。随分とお待たせしてるんですから」
元部下とその恩師に素気なく迎えられてもカカシは申し訳なさそうに背をたわめて頭を掻くけれど、へらりといつも通りに笑っている。
待たせていた同じ卓を囲む者たちにも軽い謝罪だけで、気に病んだ素振りも見せずに空いた席に腰を下ろした。
カカシと親しい上忍仲間なら、いつもの事と流したか、迷惑をかけたカカシを揶揄するかしただろう。
write by kaeruco。
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