Metamorphosis Game
□-2 艶の宴
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Metamorphosis Game
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艶の宴 「イルカ。お前、来週誕生日なんだって?」
受付で纏めた書類を決裁のために持ち込んだ執務室からの去り際、よくこうして5代目火影は世間話を振ってくる。
「はい。けど、よくご存知ですね」
忙しい仕事の合間の気晴らしになるのだろうと、イルカもそう忙しくなければ付き合うようにしていた。
「ああ、なんかカカシが浮かれて吹聴してたからな」
2人で休み取れたからイチャパラすんだーとかなんとか。
もはやカカシとイルカの関係ごときでは動じない綱手姫は事も無げに言ってくれる。
だが、当の本人であるイルカにしてみれば、噴飯もの。
──あんのバカ上忍っ
なんとか、火影の御前で里屈指の上忍への罵詈雑言を叫ぶことだけは留まった。
ただその分、心の奥底で怒りの業火が燃え盛り、引きつったこめかみと震えるほど握り締めた拳にはくっきりと血管が浮き出している。
そんなイルカの怒りも流し、綱手は書類に判を付く手も止めずに会話を続ける。
「良かったら、アタシにも祝わせてもらおうか。お前には色々と面倒もかけてるしな」
それに3代目はアンタをかわいがってって、毎年、誕生日を祝ってたって聞いてる。
「その祝い事もアタシが引き継ごうじゃないか」
火影の地位とイルカの誕生日は同列に扱うことではないけれど、そこに綱手の気遣いを感じてイルカは嬉しくなった。
けれど、それに甘えるわけにもいかないと辞退しようとして、できなくなる。
「それとも、アタシの酒は飲めないかい」
じっとりと座った目と、低い声。
イルカは悟った。
自分の誕生日は飲み会をひらくダシなのだと。
そして、拒否権はないのだと。
「……い、いえっ」
「よーしっ! じゃ、店予約しないとなー。おーい、シズネー。あ、場所決まったら連絡するから、楽しみにしてろよ」
書類の決裁を後回しに、上機嫌で店の選定に入る綱手に突っ込む気力と勇気はイルカにはない。
誕生日前日、綱手からの招待状を受け取ったイルカはしばし放心状態となった。
write by kaeruco。
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