Metamorphosis Game
□3 Security Risk
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Metamorphosis Game
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Security Risk 任務依頼書に目を通し、うみのイルカは深く深く息を吐き出した。
──ついに、来るべきものが来たか……
以前、カカシと共に任務に出て以来、いつかはこういう時が来ると覚悟はしていた。
してはいたが、実際にソレを目にすると、気が滅入ってくる。
そんなイルカの様子を面白そうに眺めながら、5代目火影である綱手が返事をうながす。
「で? 受けてもらえるんだろうねぇ?」
有無を言わせない笑顔の圧力で持って。
再度、ため息をついてから、諦めたようにイルカは答えた。
「うみのイルカ、謹んでお受けします」
「そうかい。ああ、アンタは別の極秘任務ってことにでも……」
「いえ、それは……」
綱手の言葉を遮って、イルカは自分の希望を伝える。
「この任務の責任者にしていただければ」
「それは、アイツへの命令権ってことだね?」
「はい」
この任務には中忍のイルカの他に、上忍がもう1人同行する。
階級的にはその人物へ隊を任せるが、今回は中忍のイルカの方へ依頼がきていた。
それに中忍以上になれば、部隊編成は階級ではなく能力と適正によって成される。
イルカの言い出した条件に何も問題はない。
けれど、あまりあることではないし、こんな申し出をしてくる者は居なかったはずだ。
それなのに、イルカは同行する上忍を部下にしてくれと言う。
平凡そうな男の存外なしたたかさが小気味良かったのか、綱手は気に入ったよと微笑んだ。
「分かった。アンタに全て任せよう」
アイツの扱いは得意だろうし、と揶揄も含ませながら。
「早速、手配してやる。期待しているよ」
「はい。御前失礼いたします」
言って、イルカは火影の前を辞した。
扉を閉めたところで、三度ため息を漏らす。
今回の任務を知らされた時のカカシの反応を思うと、ため息しかでなった。
そして翌朝、集合場所に姿を現した途端、カカシは硬直した。
彼をよく知らない者から見れば、ただ何気なく立ち止まったようにしか見えないだろう。
けれど、分かる人間には分かるのだ。
右目の周辺しか曝されていないハズの顔色が赤くなったり、青くなったり、白くなったりしているのが。
きっと脳内では可愛そうなくらいに複雑で、イヤになるくらいに低俗な葛藤が起こっていることが。
その懊悩に配慮して、しばし無言で向き合ってもみた。
が、このままではいつまでたっても任地へ出発することができない。
意を決し、カカシへ挨拶をしてみた。
「お久しぶりです、カカシさん。今回も、よろしくお願いしますね」
出来る限り、笑顔で。
けれどカカシから返ってきたのはため息混じりの呟きだった。
「せっかく、イルカ先生と2人っきりの任務だと張り切ってたのに……」
嫌な部分を強調するカカシを待っていたのは、確かにイルカではあった。
が、1人、ではない。
「改めてご挨拶させていただきます。今回の任務で副長を務める特別上忍、黒金バクヤです。よろしくお願いします、カカシさん」
以前に女体変化で任務についた時の、くのいち姿のイルカがいた。
write by kaeruco。
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