Nessuno Vive Per Sempre

□小夜鳴き鳥は死の運命、
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 ただ感覚的に彼女を理解し、またこれまでの経験で有り得ない出来事や存在への耐性と順応性はとても高かったから素直にそれを受け入れた。

 そうなると、次に気になるのは、なぜかということ。

 信じたくはないけれど、綱吉は屋上から落ちて、死んだのだろう。
でも彼女の声に目を開ければ、まるで何事もなかったかのように、こうして誰かが落ちた痕跡の残る屋上に立っている。

「君はやり直しを望んだ」

 容赦ない彼女の言葉は、綱吉の最期を肯定していた。

「私は死を司り、生を司り、魂を掌る」

 朧気ではあるが、綱吉にも彼女の正体が知れた。

「君の魂は形無き私の姿を見いだし、聞こえぬ私の問いに答えた」

 いや、最初から無自覚に感じとっていたかもしれない。

「私に姿と声を与えてくれたのだから、君は君の願う、望む世界を生きるといい」

「……俺の、望む世界?」

 思い浮かべたのは、《みんな》が平穏に暮らしている光景。
そこにマフィアや命懸けの争いは介在しない。
時々は誰かが厄介な事を引き起こすけれど、それを片付ければまた笑いあう世界。

「いきな」
 
 促され、沢田綱吉の魂はオレンジ色の炎となって茜色の夕空に溶けるように、新たな世界へと旅立っていった。
 
 
 

 
write by kaeruco。 
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

(初出:2013/11/30 
最終更新:2013/11/29)

 
小夜鳴き鳥は死の運命、

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