Nessuno Vive Per Sempre
□小夜鳴き鳥は死の運命、
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そう告げれば、赤ん坊は引ったくるようにして読み始めた。
「ムカつく噂と、ちょっと面白い話しがでてきてね」
ムカつく噂というのは、今まさにリボーンが目を通している書類にまとめ上げられている。
沢田綱吉はイジメられていた、というもの。
元々、多くの生徒から嘲りを込めて「ダメツナ」というあだ名で呼ばれ、蔑まれていたのだ。
彼の身に降りかかったやむを得ない事情から、獄寺隼人や山本武、笹川兄妹や雲雀恭弥といった人目を惹く生徒たちと行動するようになり、少しずつ見方を変える者も増えてきていた。
それが、雲雀曰わく───群れるしか能のない、沢田綱吉の事情を知らぬ草食動物から面白くないと目の敵にされ、私物を隠したり、すれ違い様にわざと体をぶつけたり、聞こえよがしに悪口を言い放つなどのイジメが行われていた、らしい。
「ダメツナめ……」
家庭教師として教え子の陥っていた状況に気付かずにいたことを苦々しく思い、けれど相談すらしなかっただけでなく自分で解決も出来なかった綱吉を責める声音には自戒も含まれていた。
だからこそ、戻ってきたらねっちょり修行だゾ、と遠回しに無事を願う。
しかし、綱吉がなぜ周囲にイジメを気付かせず、助けも求めなかったのかは想像ができた。
お家事情絡みで親しくなった友人たちは、何かというと喧嘩腰で、物事を力押しで解決というより粉砕しがちである。
下手をすれば相手が一般人───ただの中学生ということも忘れ、彼らが持つ特殊な能力をも奮いかねない。
そうなった時を、綱吉は恐れたのだろうし、少なくともその判断は間違いではないとリボーンは思う。
「確かに不快な噂だな。で? 面白いってえのは、どんな話だ?」
「その検証に、君を呼ぼうと思ってたんだよ、赤ん坊」
同じく、支配下での馬鹿な行いを把握しきれなかった自身へのムカつきで不機嫌さを増していた雲雀は、日没間近の窓外に向けていた視線を来訪者へと戻し、肩に羽織った学ランを翻して立ち上がった。
「ちょうどいい頃合いだ。一緒に来てもらうよ」
「分かった」
副委員長に後を任せ、黒衣の赤ん坊を肩に乗せた風紀委員長は人気のない夕暮れの校舎を進む。
「ここだよ」
たどり着いたのは、2階の会議室。
生徒たちの下駄箱が並ぶ昇降口に面した窓は、張り出した1階の屋根へと出られる造りになっていた。
「そろそろかな?」
窓を見つめる雲雀に促され、リボーンもそちらを向く。
日没の残照が窓ガラスに反射して、夕焼けに染まる景色が白く塗りつぶされた、一瞬。
「……なっ!?」
上空から落下し、昇降口の屋根に叩きつけられる生徒の姿が映った。
「ツナッ!?」
瞬く間に満たない映像だったが、世界一のヒットマンを自称するリボーンの動体視力が認識したのは、馴染みある教え子の姿に間違いない。
思わず窓辺に駆け寄ったものの、夕闇に沈む誰もいない屋根しかそこにはない。
けれど目を凝らせば、教え子が落ちた辺りには何か液体をぶちまけた痕跡は見て取れた。
「どういうことだっ!? 雲雀っ!!」
言外に責める赤ん坊に、雲雀は静かにそうではないと否定を返す。
「小動物が姿を消した翌日から、今見た通りの噂も出始めていてね」
確認ついでに、沢田綱吉をイジメていたとされる数人を咬み殺してみたが、誰もあの小動物の行方を知らなかった。
例え彼らが何かをしでかしていたのだとしても、一介の中学生が雲雀を相手に黙秘し、隠蔽し続けるのは不可能だろう。
UP DATE:2013/10/14
write by kaeruco。
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