Nessuno Vive Per Sempre
□小夜鳴き鳥は死の運命、
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悲鳴を上げることもできず、反撃などする隙もなく、獄寺とリボーン以外の男子生徒は叩き伏せられた。
「彼女から聞いた限りだけどね」
なんの脈絡もなく、雲雀は告げる。
「理不尽な騒動に巻き込まれるのも、確かに楽しかった」
誰の言葉なのか。
「けど、平和で平凡な」
1歩、また1歩、踏み出す毎に。
「家族や友達が傷つくことのない」
横暴な家庭教師へ。
「マフィアに、ならなくていい人生」
右腕を自称する友人へ。
「あの小動物の望みは、それだけだって」
別れの言葉。
「君たちは置いてけぼりだね」
「……どういう、意味だ?」
絞り出すように、リボーンが問い掛けたところで、返事はない。
ただ、鉄の扉が閉まる音が響いただけ。
「……ヒ、バリ?」
同時に、目前に迫っていた雲雀の姿も掻き消えた。
宵闇に目を凝らし、いくら辺りを見回しても屋上には自分たち以外の姿はない。
幻術の気配もなく、いくら腕利きのヒットマンたるリボーンが探っても何者の気配も感じ取れなかった。
「……リ、ボーン、さん……あ、あれ……」
獄寺が動揺のまま指し示す先を見て、雲雀に気を取られていたリボーンも愕然とする。
確かにあった、自分たちもさっきそこから屋上へ出て来た鉄扉が、なくなっていた。
近付いて触れてみても、そこには最初から壁だったようにしか見えない。
それに、あまりにも周囲が暗いことも気がかりだ。
防護柵越しに見渡す町に、明かりが一切見当たらない。
夜とは言え日が沈んだばかりなのに、道路に立つ街灯や行き交う車のライトどころか、校舎内の非常灯すら着いていないなんておかしい。
「どういうことだっ!?」
まるで別世界に放り出された気分だ、と思い至ったリボーンは常になく饒舌だった雲雀の言葉を反芻していた。
───いらない物は、置いて行ったみたいだ
───彼女から聞いた限りだけどね
───マフィアに、ならなくていい人生
───あの小動物の望みは、それだけだって
───君たちは置いてけぼりだね
「……どういう、ことだ?」
そして不意に思い出す、いつか聞いた雲雀の言葉。
───あの子の世界に、君が必要な存在だったのか、目が覚めた時に分かるってさ
それを聞いたのはいつだったのか、どこでなのか、思い出せない。
そして、その目覚めがいつ訪れるのかも、分からない。
雲雀に打ちのめされた痛みに呻く男子生徒たちと、獄寺とリボーン。
彼らは出口のない屋上の暗闇で途方に暮れるだけだった。
write by kaeruco。
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(初出:2013/10/15
最終更新:2013/10/15)