カカイル
□せんせいのお時間
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せんせいのお時間
牛乳に相談だ「イルカ先生は牛乳禁止デス!」
朝、うみのイルカのささやかな食卓へ飛び込んできた上忍は開口一番、そう叫んだ。
手にしたトーストを1口かじり、やっぱりな、とため息をつくイルカの態度が気に障ったらしく、トゲのある声が降ってくる。
「聞ーぃてるんですか?」
「はあ」
カカシをちらりと見上げ、イルカは咀嚼を続ける。
カカシの奇行は予想済みだ。
どうせアレを観たのだろう。
牛乳を飲んだ女の子が急にモテモテになり、溢れるラブレターに流されていく、過剰広告。
イルカは『J*ROモノだなぁ』なんて鼻で笑って終わったのだが、里屈指の天才忍者ながら日常生活においては紙一重な人は信じたようだ。
しっかり咀嚼したトーストを飲み込んで、イルカは請う。
「カカシさん、食卓から降りなさい」
いや、命じると大人しく従い、正座するあたりは可愛げがある。
「だったら、カカシさんも飲まないでくださいね」
牛乳。
「オレも困るんです」
はたけカカシは、女にモテる。
万人受けし女性とはいい友達止まりのイルカと違い、妙齢の女性に。
極上の恋人や、理想の伴侶として。
イルカの恋人でありながら。
だから、牽制に見せかけた揶揄というか、あげつらっての言葉だったのに。
「イルカ先生、カワイイ
」
頭の沸いた上忍は辛抱堪らん勢いで、イルカを抱きしめる。
「ご心配なく。オレにはアナタだけでーすヨ
」
嬉しそうに囁いてくる男に笑顔を向けながら、イルカは思っていた。
──なんでオレ、この人好きになっちゃったんだろう……
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]
WRITE:2006/02/23
UP DATE:2006/02/27(PC)
2008/12/02(mobile)
*あの
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