カカイル
□1000年の誓い
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そのまま黙ってしまいそうだったイルカが、ぼつりともらす。
「……だってアンタ、急に居なくなるかもしれないじゃないですか……」
それは、カカシも否定できない。
望むと望まざるとに関わらず、任務中に行方不明になる可能性はある。
そしてそのまま、永久にイルカの元から去っていくことだって考えられる。
だからですね、とカカシの背を抱くイルカの腕に力がこもった。
「だから、アンタが望んだんじゃなくって、居なくなったんなら……。それで、どうしても帰れなくて、居場所も知らせられないのなら、オレが探しにいってやりますよ」
どこへでもね。
「イルカ先生って、ホンット男前〜
」
「それはどうも。それで?」
「はい?」
「オレじゃアンタ探し出すのに時間かかるでしょうから、何年ぐらい待ってられます?」
「イルカ先生が探してくれてるんなら、千年でも待ちます」
「それでも見つけられなかったら?」
「オレも探しにいきますよ」
当然だと言わんばかりのカカシに、イルカはため息をつく。
「……アンタは探しにこれないって前提で話してたんですけどね……」
「そーうでした」
「それに、探しにこれるなら、もっと早く帰ってきてください」
「はい」
「普段は1秒だって我慢がきかないくせに」
次々に繰り出されるイルカの暴言を嬉しそうにカカシは聞いている。
「何、ニヤケてんですか」
「だーって、ねえ……」
イルカはカカシが千年待つということには何も触れなかった。
「千年、探してくれるんでしょ」
「……ああ。もう授業始まりますからっ、離してくださいっ」
「はぁい」
しぶしぶ腕の力を抜くと、少しの躊躇もなくイルカはその場を逃れる。
放り出されていた空の弁当箱をまとめ、まだ転がったままのカカシを覗き込んできた。
「……それからね、カカシさん。オレ、千年ぐらいじゃ、諦めませんよ」
言葉の最後は、軽くカカシの唇をかすめる。
次の瞬間、その能力をいかんなく発揮して、イルカは駆け去っていった。
呆然と、その姿を見送って、カカシは呟く。
「オレは……千年もイルカ先生、待たせませんかーらね」
今日の夕方にでも、またお会いしましょ。
【了】
‡蛙娘。@ iscreamman‡
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WRITE:2004/11/11
UP DATE:2004/11/13(PC)
2008/11/23(mobile)
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