カカイル
□短い夜
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相手は無遠慮にも防具の下へ腕を差し入れ、何が楽しいのか胸の辺りを撫でてくる。
「……アンタ、本気でやろうとしてんじゃないでしょうね」
「本気じゃなきゃ、男とできないデショ?」
ダイジョーブ、ちゃんと楽しませてあげるヨ。
「……だから、挿れさせてヨ……」
余裕のない声が、耳元に吹き込まれた。
「……こんな状態で拒んだって、聞いてくれないでしょう?」
「うん」
嬉しそうに笑った男は、指を後に滑らせた。
* * * * * 結局、諸々含めてたっぷり1時間の足止めを食らった。
これでは次と、明日の仕事に影響が出る。
せめて嫌味の1つでもと、開きかけた口は相手が早かった。
「アンタのせーで、遅刻しちゃったじゃない」
「……なんで、そういう理屈になるんです?」
「ちょーっと遊んでもらうつもり、だったの。なのにアンタ、エロイんだもん」
間抜けた言葉に言い返すこともできず、脱力した。
その隙に面がずらされる。
頬に軽く唇が触れた。
「じゃあまたね、エロイルカせんせ」
離れ際に、聞き捨てならないことを呟いて。
「なんですかっ、その言い方はっ!」
「ああ、そうだ」
ふらりと立ちあがったカカシは、空を見上げてにこりと言った。
「明日は雨ですよ〜」
そう、ついでのように付け足して去っていく背に、吐き捨てる。
──また、はねえよっ
【了】
‡蛙娘。@ iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]
WRITE:2005/06/20
UP DATE:2005/06/20(PC)
2008/11/26(mobile)
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