カカイル

□天使のような悪魔
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 自分の舌を他人の舌が舐め、吸い上げる。それが思いのほか気持ちがいいのだと初めて知った。
 唾液を啜られる感触と音に脳が弾けたような衝撃を受け、そこから先、何が起こったのか分からなくなった。

 口付けから開放されても、カカシはまだキスの余韻の中にいる。

「これが契約の証。オレの名前はイルカです。よろしくお願いしますね、カカシさん」

 再び、そっと寄せられた唇は触れただけだ。
 けれど、その一瞬の柔らかな感触で一挙に現実へ引き戻される。

 今、自分は目の前の男に唇を奪われ、口腔内を蹂躙されたのだと。

「……ファッ」

───ファーストキスだったのにっ……

 叫びは心の中でだけ、響いた。

 イルカの人差し指1本が唇に押し当てられているだけなのに、声がでない。

「こんな夜中に、ご近所迷惑ですよ」

 にやりと今まで見せたことのない、影のある笑顔をイルカは浮かべていた。

 たが、清廉な印象ばかりだったこの男にその笑みは存外、似合っていることが恐ろしい。

「……この、悪魔っ」

「初めからそう言ってるじゃないですか」
 
 カカシの罵りに、しれっと答える表情は、最初に見せた人のよさげなものだったけれど。

 
【続く】
‡蛙娘。@ iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2006/03/25
UP DATE:2006/03/29(PC)
   2008/12/21(mobile)
 
 

 
天使のような悪魔

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