カカイル

□カカイル100のお題
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カカイル100のお題
 
005:星屑



 カカシが受け持つ子供たちは何かと騒ぎを起こしたり、くだらない競い合いをしたり、かと思えば些細な事で諍いあったりと酷く手がかかる。
 たった3人を相手しているだけでも半日でうんざりとするのだから他の上忍師や、更に多人数の面倒を見ているアカデミー教師らに敬服を覚え、かつての師らにかけた迷惑を思えば自戒に落ち込む。

 いや、カカシが所属していた班では騒いでいたのはオビト1人で、リンやカカシは呆れた目で眺めていたのだ。
 しかし今、同じように1人喚き散らすナルトに我関せずと斜に構えながら時折ちくりと煽るサスケと、2人の間でイライラしながら取り繕うように右往左往するサクラを見ていると、これはこれで面倒なものだったのかと思い知る。

 大人として子供の喧嘩に口を挟むのも野暮だが、上官としてはいつまでも放っては置けないし、さてどうしたものかと思考を巡らせる。
 他の上忍師がどうやるのかは分からないし、カカシの師はただ困ったように笑って見ていたけれど、ここぞというタイミングで割って入って仲裁していた。
 では彼らに馴染みある、アカデミーで受け持っていた者なら、と考える。

「……ね、サクラー」

「え? はい、なんですか? カカシ先生」

「こーゆー時ってさー、イルカ先生なら、やっぱ?」

 なにやらギャンギャンと言い合っているナルトとサスケを指し示してから握った拳を振り下ろす仕草をして首を傾げれば、こくこくと無言の頷きが返る。
 心持ち後ずさったのは、サクラもその威力を知っているからなのだろう。

 それは指摘せずただ、そっか、と微笑んだカカシは両手を握り込むと部下2人に歩み寄る。

「んじゃー、遠慮なくー」

 もちろん手加減はするけれど、痛みが最大限になるよう両の拳をナルトとサスケの脳天に叩き落とした。
 かなりいい音がしてカカシにもダメージが返ったものの、2人とも両手で頭を抱えて蹲っている。

「いきなり、痛ってーってばよっ、カカシ先生っ!」

「……なんなんだ、いきなり……」
 
 真っ先に立ち上がって食ってかかるナルトと、未だ膝を着いたまま涙目で睨み上げるサスケの違いは慣れかもしれない。
 カカシはサクラと並んで肩をすくめ、2人に呆れた目を向ける。

「……お前らねーえ。今、任務中だって、分かってんの? ん?……」

 既に夕刻で朝に受けた古い屋敷の庭掃除というDランク任務は終えているが、今日は受付所の前で解散と決めてある。
 それまでは任務中、と窘める。
 だが2人して、だって、と口先を尖らせた。

「……で? 何をそんなに張り合ってるワケ? 先生に話してみなさいよ……」

「サスケがっ」

「オレは本当の事を言っただけだ……」

 ナルトが事情を話そうとするのをサスケが自分は悪くないと遮るものだから話が進まない。
 カカシは一つ息を吐きナルトに続きを促し、サスケの頭をグイと押さえつけて口を開けないようにしておく。
 サスケくんが縮むっ、と喚いてるサクラはとりあえず無視だ。

「……あのよぅ、カカシ先生」

「ん、なぁに?」

「星ってさ、どんな小さくても、夜に光って見えてるのって、本当は太陽よりもデッカい自分で光ってる星なんだろ?」

「…………は?」
 
 
write by kaeruco。
UP DATE:2015/11/26
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