カカイル

□カカイル100のお題
5ページ/11ページ



「サスケは……素直じゃない時と、妙に人懐っこい部分があって……難しいですね」

「そーうですねー」

「でも2人とも……いいえサクラも、結構な努力家なんです」

 懐かしげな遠い目で自分の手元を見つめながら、イルカは続ける。

「ナルトは空回りして中々身につきませんし、サスケやサクラはすぐに習得してしまうから、一見そうは見えませんけど」

 言いきり、イルカは真っ直ぐに視線を上げた。
 今は自分ではなく、子供たちの未来を見ているのだろう。

 何故かそれをサビシイとカカシは感じた。
 けれど、嬉しくも思う。

「ふうん。……イルカ先生って、ケッコー辛口なんですねー」

 急に砕けた口調にもなる。

 イルカの子供たちへの評価が厳しいのは、高い目標を見ているからだ。
 あの子たちはもっと出来る、強くなると信じているから言えることだ。

「え、そう、ですか?」

「ええ。ま、これでオレは一安心です。すみませんね、お時間取らせちゃって」

「……いいえ。お役に立てたのでしたら何よりです」

「それじゃ」

 と、カカシは立ち上がる。

「お茶、ゴチソウサマデシタ」
 
 律儀にきっちりと頭を下げ、ドロンと姿を消してしまう。

「……流石というか、なんと言うか」

 呆れたように呟いて残された湯のみを手に、イルカは立ち上がる。

 減っていない自分の湯飲みを流しに傾け、空になっているカカシの使った湯のみにも水を注いで洗い始める。

 ずっと口布をしていたのに、いつ飲んだのだろうと首を傾げる。

 話の最中、何度か視線をそらしたけれど、あの時だっただろうか。

「それにしたって……」

 珍しい男だ。
 里の中とは言え、初対面に近い忍の煎れたお茶を飲んでしまうなんて。

 自分の子供たちへの評価が高いと悟って妙にご機嫌になったり。

「……案外、甘い人だなあ」

 そう、1人ごちた。

 

甘い───
───人の為に善く、でなく 

【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2005/08/12
UP DATE:2005/08/12(PC)
   2009/01/03(mobile)
 
 
カカイル100のお題

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ