カカイル
□カカイル100のお題
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「サスケは……素直じゃない時と、妙に人懐っこい部分があって……難しいですね」
「そーうですねー」
「でも2人とも……いいえサクラも、結構な努力家なんです」
懐かしげな遠い目で自分の手元を見つめながら、イルカは続ける。
「ナルトは空回りして中々身につきませんし、サスケやサクラはすぐに習得してしまうから、一見そうは見えませんけど」
言いきり、イルカは真っ直ぐに視線を上げた。
今は自分ではなく、子供たちの未来を見ているのだろう。
何故かそれをサビシイとカカシは感じた。
けれど、嬉しくも思う。
「ふうん。……イルカ先生って、ケッコー辛口なんですねー」
急に砕けた口調にもなる。
イルカの子供たちへの評価が厳しいのは、高い目標を見ているからだ。
あの子たちはもっと出来る、強くなると信じているから言えることだ。
「え、そう、ですか?」
「ええ。ま、これでオレは一安心です。すみませんね、お時間取らせちゃって」
「……いいえ。お役に立てたのでしたら何よりです」
「それじゃ」
と、カカシは立ち上がる。
「お茶、ゴチソウサマデシタ」
律儀にきっちりと頭を下げ、ドロンと姿を消してしまう。
「……流石というか、なんと言うか」
呆れたように呟いて残された湯のみを手に、イルカは立ち上がる。
減っていない自分の湯飲みを流しに傾け、空になっているカカシの使った湯のみにも水を注いで洗い始める。
ずっと口布をしていたのに、いつ飲んだのだろうと首を傾げる。
話の最中、何度か視線をそらしたけれど、あの時だっただろうか。
「それにしたって……」
珍しい男だ。
里の中とは言え、初対面に近い忍の煎れたお茶を飲んでしまうなんて。
自分の子供たちへの評価が高いと悟って妙にご機嫌になったり。
「……案外、甘い人だなあ」
そう、1人ごちた。
甘い───
───人の為に善く、でなく
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2005/08/12
UP DATE:2005/08/12(PC)
2009/01/03(mobile)