カカイル
□カカイル100のお題
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予想外かつ専門外の学術的な内容に、一瞬言葉をなくす。
「……ああ、なんか、そーう、らしーねえ……」
何かの折りにそんな話も聞いた覚えもあるが、行く事もできない遠い星の大きさなど興味も持てなかったカカシには詳しい事はさっぱりだ。
落ちこぼれていたナルトが知っていた事が驚きだが、きっと雑学として誰かが話していたのを偶々聞きかじったかして覚えたのだろう。
「……そ、それが、どーしたのかなー?……」
「だ、だからさっ、あんな小さな星だってさ、本当は太陽みたいなもんなんだろっ」
徐々に暗さを増してきた空の端に輝きだした星を指差すナルトに、抑えつけるカカシの手から逃れようと苦心しながらサスケがぼそりと呟いた。
「……近くになきゃ意味ねぇだろうが、ウスラトンカチ」
「……あー、そーゆーこと、ネ……」
2人のやり取りで大体を察したカカシは脱力する。
多分、なんらかの言い合いの最中に火影を太陽に擬え、ついでにナルト自身を太陽になれない小さな星だと揶揄したのだろう。
確かにナルトの主張する通り、どんなに小さく見えようと夜空に輝く星ならば太陽と同じ恒星だ。
しかしサスケの言い分も正しく、実際にはどれほど大きく明るい星であっても遠く離れていれば目を凝らしても見えはしない。
どちらも見方が違うだけで間違ってはいない。
しかし、世の中は正しさだけでは通用しない。
第一。
「………はーあ。あんね、まーだ星にすらなれてないお前らが、なーに粋がってんのー」
そっぽを向き合う2人の頭をぐりぐりと強く撫で回す。
いずれはこの中の誰かが里を照らす新たな太陽となる時も来るかもしれないけれど、今はまだ成長途中の星屑たちでしかない。
だからとりあえず、目先の問題から1つ1つ解決していくしかないのだ。
まず、差し当たっては。
「……今日の任務、終わりにしたくないってゆーなら、いつまででもそこに居ていーケド?」
どーする、と尋ねたところでナルトの腹が大きな音で鳴き、子供たちは任務完了を優先すると一致した。
星屑───
───今は、まだ……
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2015/11/25
UP DATE:2015/11/26(mobile)