カカイル

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つめたいよる



 数日後、カカシは夜間哨戒の任務についた。

 2小隊が1夜を掛けて木ノ葉の里の周囲を警戒して巡る、とにかく体力勝負の任務である。

 以前ならば、それなりに経験を積んだ下忍を数人の中忍か上忍が率いて行なっていた任務だ。

 しかし、木ノ葉崩し以降、この里の戦力を探ろうと侵入してくる忍は多い。
 時にはそのまま里になんらかのちょっかいをかけてこようとする者すらいた。

 大蛇丸ですら落とせなかったものを、3代目火影を失い、5代目火影が就任したばかりの木ノ葉を落とせばと、考えるのだろう。

 そういった敵の実力、数が事前に把握できない以上、哨戒任務にもそれなりの経験と実力を持った者が選ばれる。

 今夜のメンツは上忍が3人に、中忍が6人。
 中忍の殆どは知らないが、上忍は嫌になるほど見知った顔が揃った。

「はーぁ、なぁにが悲しゅーてオマエらと一晩過ごさんとイカンのよー」
 
「こっちの台詞だ。オマケに、なんでお前らの隊長がオレなんだぁ。ったく、メンドくせぇ」

「はっはっはっ! ナニを嘆く必要があるカカシよっ! さては、このオレと小隊長としての器を比較されることを恐れているなぁ!」

 カカシとアスマ、2つの盛大なため息をかき消して、ガイの高笑いがしばし空気を振るわせる。

「嫌ならさっさと済ませちまうしかねえやな」

「そーね」

「で、どう組むよ」

 アスマの指先にはタバコではなく、1枚のリストが挟まれていた。

 それには今回の任務につく6人の中忍の名と、簡単な能力が記されている。
 確認していく3人の目が、1つの名に集まった。

「イルカ先生って、この任務結構出てんのね」

「そうみたいだな。戦績も目覚ましい。この中ではエースだ」

「アイツも里に長いから地形は詳しいしよ。それに経験も、実力もある」

 ああ見えてもな。

「イルカは強えぜぇ」

 アスマの顔に、どこか影が見える。

 カカシにはそんな気がした。

「アスマ、なんか知ってんのぉ? イルカ先生のこと」

「ガキん時から知ってるぜ。九尾の後から、イルカはオヤジに目掛けられてたからよ」
 
 アスマは3代目火影の息子である。

 里の全ての人を自分の家族のようにみていた3代目ならば、アスマとイルカを同じように扱ったのだろう。
 そういった中で、2人に交流があったであろうことは、想像がつく。

「なるほどね」

「で、どうするよ?」

「むぅ。夜間哨戒経験の少ない者とイルカで1隊だろうな、この場合」

「じゃ、オレその隊貰ーう」

「……いいのか。それで?」

「だって、オレこの辺の地形は把握してないもん。イルカ先生なら、サポートにいいでしょ」

「ガイ、オメーは?」

「ああ、オレも構わん」

「なら決まりだな。ガイの方が外周、1キロ内周をカカシの隊が哨戒」

 オレは外周隊の内側200メートル辺り、中忍1人連れてついてくわ。

「じゃ、それぞれ自分の隊を確認したら、出発すっか」

「おうっ!」

「りょーっかい」


 


 哨戒を始めて2時間。

 カカシ率いる内周隊は、ガイ率いる外周隊より先行して全行程の3分の1までを進んでいた。
 
 
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