カカイル
□MISSING LINK
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特別上忍のイビキを前にして、階級意識と上昇志向の強すぎる中忍は完全に舞い上がっていた。
それでも巧みな誘導で、イビキは得るべき情報を得ていく。
中忍2人からの報告はすぐに終わった。
この中忍を襲い、アスマが倒したという斥候の遺体も回収しに、尋問部隊が動きだす。
それを見送ってから、イビキは残りの部隊と捕虜を連れ、里へ戻ろうとした。
「ちょい、待ち」
「なんだ」
「ついでだから、この人も回収しちゃってよ。哨戒続けらんないヨ、これじゃあ」
言ってカカシが示したのは、イルカだった。
「その必要はない。というか、カカシ」
「なによ」
「イルカが抜けては、それこそ哨戒は続けられんぞ」
戦力の2割を失ったら撤退が鉄則だ。
「戦闘力だけならお前が補えるが、地理情報や索敵範囲の縮小はどうにもならんだろう」
「あーつまり、イルカ先生の戦闘力はハナから期待してない?」
「逆だ。お前と違って、イルカは多少チャクラを消耗したとしても、戦闘に殆ど影響はない。今の状態でも、並みの忍に遅れは取らんぞ」
「へーぇ」
イビキの評価に、カカシともう1人の中忍がイルカを見やる。
とてもそうは見えないという目で。
しかしイルカはその視線を照れも謙遜も憤りもせず、受け止めている。
カカシの知るイルカにはありえない、その態度。
「近いうちにウチに加わえてみたい人材だ。先輩として、見極めるつもりで使ってみるがいいだろうよ」
そして、イビキの言葉に含まれた意味。
「じゃあな。今夜はもう会わんで済むよう祈っている」
カカシはイビキを呼び止めるだけの余裕すら失っていた。
───イルカ、先生が……暗部に……?
それも、きっと、自分から望んで。
このことが何を差しているのか。
これから何が起ころうとしているのか考える事が。
いや、既に自身がたどり着いている答えを改めて見てしまうことが、カカシには恐ろしかった。
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
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WRITE:2004/11/04
UP DATE:2004/11/04(PC)
2009/01/28(mobile)