カカイル

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 特別上忍のイビキを前にして、階級意識と上昇志向の強すぎる中忍は完全に舞い上がっていた。

 それでも巧みな誘導で、イビキは得るべき情報を得ていく。

 中忍2人からの報告はすぐに終わった。

 この中忍を襲い、アスマが倒したという斥候の遺体も回収しに、尋問部隊が動きだす。

 それを見送ってから、イビキは残りの部隊と捕虜を連れ、里へ戻ろうとした。

「ちょい、待ち」

「なんだ」

「ついでだから、この人も回収しちゃってよ。哨戒続けらんないヨ、これじゃあ」

 言ってカカシが示したのは、イルカだった。

「その必要はない。というか、カカシ」

「なによ」

「イルカが抜けては、それこそ哨戒は続けられんぞ」

 戦力の2割を失ったら撤退が鉄則だ。

「戦闘力だけならお前が補えるが、地理情報や索敵範囲の縮小はどうにもならんだろう」

「あーつまり、イルカ先生の戦闘力はハナから期待してない?」

「逆だ。お前と違って、イルカは多少チャクラを消耗したとしても、戦闘に殆ど影響はない。今の状態でも、並みの忍に遅れは取らんぞ」

「へーぇ」

 イビキの評価に、カカシともう1人の中忍がイルカを見やる。
 
 とてもそうは見えないという目で。

 しかしイルカはその視線を照れも謙遜も憤りもせず、受け止めている。

 カカシの知るイルカにはありえない、その態度。

「近いうちにウチに加わえてみたい人材だ。先輩として、見極めるつもりで使ってみるがいいだろうよ」

 そして、イビキの言葉に含まれた意味。

「じゃあな。今夜はもう会わんで済むよう祈っている」

 カカシはイビキを呼び止めるだけの余裕すら失っていた。

───イルカ、先生が……暗部に……?

 それも、きっと、自分から望んで。

 このことが何を差しているのか。

 これから何が起ころうとしているのか考える事が。

 いや、既に自身がたどり着いている答えを改めて見てしまうことが、カカシには恐ろしかった。

 
【続く】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2004/11/04
UP DATE:2004/11/04(PC)
   2009/01/28(mobile)
 
 
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