カカイル

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ふたりとであう



 初対面から違和感を感じていた。

 珍しいことだと、はたけカカシは思う。

 同じ里に属する同士。

 初めての教え子となる部下──それも特殊な事情を抱えた子供たちに多大な影響を与えてきた元担任。

 アカデミーで下忍候補生たちを教え、任務受付所で3代目火影と共に下忍たちへ任務を振り分ける仕事をしている男。

 うみのイルカ。

 彼に多少の興味を持つのは、状況的に仕方がないことと割り切った。

 カカシは自分で覚えている限り、今後関わる可能性の低い他人に認識以上の興味を持った過去はない。

 それだけでなく、これまで初対面で激しく嫌ったり、逆に好印象を抱いたりしたこともなかった。

 彼とも、特に何をしたわけでもない。
 ただ、挨拶を交わしただけだ。

 それだけの接触の中で感じたのは、良い噂通りの印象と、不可解な違和感。
 
 この里で最も名の知れた中忍のことは、人づてに聞いただけだ。

 同僚、部下、火影。

 誰から聞いても、どの噂も、およそ忍びらしくない言動と印象ばかりが残った。

 受付所の万年中忍。

 3代目のお気に入り。

 腰ぎんちゃく。

 アカデミーのイルカ先生。

 九尾のガキを手懐けた、狐憑き。

 そんな予備知識を持って、初めて自身の目の前に立ったうみのイルカを見た途端、それらがことごとく上滑りしていった。

 どの情報も噂も、イルカの真実の姿を捉えきれていない。
 しかし、間違ってもいない。

 何かが足りない。
 欠けているのだ。

 カカシの感覚でも、実態は捉えられず、ただ違和感として感じたまでだが……。

 だからその時は、普通に挨拶を交わしたに過ぎない。
 なんでもないそぶりで。
 そして以後も、そう接してきた。

 部下たちの任務を受ける時も、任務報告のついでに部下の様子を聞かれた時も、部下の中忍推薦で何人もの忍びの前で口論をした時も。

 あくまでもカカシとイルカは、下忍たちの元担当中忍師と現担当上忍師だった。

 特に馴れ合いも反目もなく。

 得体の知れない違和感をそのままに。
 
 ずっとこんな関係が続くハズだった。

 大蛇丸の木ノ葉崩しが起こらなければ。


 


 木ノ葉崩し後、木ノ葉隠れの里は大幅な人員異動を行なわざるをえなかった。

 3代目火影を始めとした多くの忍びを失い、それでもなお、忍びの里として機能していかねばならなかったのだ。

 欠けた部分は、無事な者が補うしかない。

 それで補えない分は、以前からの任務と兼任で別の任務を請け負っていく。

 今のカカシのように。

「やーれやれ。よーうやく、帰ってこれたよ」

 3日前に受けたBランク任務から帰還したのはもう夜明けに近い、空が白むにつれて地の闇が強く感じる時間。

 周囲に誰もいないのを承知で、カカシは愚痴を零しこぼし、里へと急いでいた。

 新人下忍たちを指導する上忍師たちも例外なく、兼任の任務が振り分けられる。

 当然カカシでなければならない任務もあるが、逆にそうでないものに当たることも少なくない。

 今回はハズレ。
 労多くしてなんとやら、だ。
 
 
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