カカイル

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「ええっ! な、泣きませんよっ? ……って、もしかしてイルカ先生、卒業させるたんびに泣いてたんですかっ?」

「……ナルトの時は、色々あって、泣きましたよ……」

 ナルトが卒業した経緯は、カカシも聞いて知っている。

「……今回のことを聞いてから、ずっと……あの時を、思い出してたんです……」

 知ってはいるが、その時のイルカの心情までも分かっているわけではない。

 けれど、ナルトにもイルカにも辛い事件だったことは理解していた。

 それでも、辛かったからこそ、2人は互いに強い絆を感じたのだとも思っている。

「よく考えたら、オレは最初からナルトを認めていたワケじゃなかったし、ナルトもオレを全面的に信頼していたワケじゃなかったんですよねえ……」

「え? そう、だったんですか?」

「ええ、まず、あいつと口利くのが一苦労でして……」

 そう言って、イルカはカカシに聞かせた。

 初めて会ったナルトは、今では信じられないが誰とも関わろうとしなかった。
 授業でおちこぼれて、ますます人を寄せ付けなくなっていった。

 どうしてもナルトの気を引こうとして、イルカが仕掛けたのがイタズラだった。
 
 やがて少しずつ言葉を交わすようになり、ナルトの方からもイタズラをしだしたのだ。

 カップラーメンばかり食べているというナルトを一楽に連れて行ったりもした。
 それがナルトにとって生まれて初めての外食で、誰かと一緒の食事だったと知ったのは、ずいぶん後になってからだった。

「色々あって、オレとナルトは先生と生徒になっていったんだなって……オレは、オレになっていってたんだって……ようやく、分かりました」

「……イルカ先生ぇ……」

「ナルトもサスケも、自分の歩く道を選んでいっただけのことですよ。オレたちが考えていたよりも、ずっと早く……」

 そう考えてやりましょうよ。
 アイツらは、自立したんだって。

「いつか、あいつらに会ったら……誉めるなり叱るなり、してやればいいじゃないですか」

「……そうですね……」

「オレたちも子離れして、オレたちの道を歩いて行きましょう」

 カカシの膝に置いた手にイルカの手が添えられ、遠慮がちに握ってきた。

「……ずっと一緒に……」

 その消えそうな声に、カカシの顔はにんまりと笑み崩れる。
 そして強く、イルカの手を握り返した。
 
「ええ。ずっと一緒に手繋いで歩いていきましょーね。イルカ先生」

 
【了】
‡蛙娘。@iscreamman‡
[http://id54.fm-p.jp/120/iscreamman/]

WRITE:2004/11/26
UP DATE:2004/11/26(PC)
   2009/11/07(mobile)
 
 
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