カカイル
□寂しくて眠れない
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当然、狩りの獲物であるし、食材としてもよく使われる。
毛皮や毛糸を得るために飼育されている家畜でもある。
あと、愛玩動物として飼育されてもいる。
確か、国外では幸運のお守りとして、切り落とした尻尾か左後足を持ち歩く風習があった。
中でも白ウサギは復活と豊饒の象徴、らしい。
里が誇る上忍の足はそう簡単には切り落とせはないだろうが、ご利益はあるような気がする。
とゆーか、それだけの実力があればいいな、と考えなくも無い。
───うーん……でも、そーゆー趣味も実力もねえしなあ……
第一、尻尾ってドコだよ。
自前でツッコむ暢気さを取り戻しながら、イルカは思考を進めていった。
───そういやあ……
キレイでグラマーなお姉さんたちが、素晴らしいボディを惜しげもなく拝ませてくださるありがたい雑誌のマークが、ウサギだ。
アレは、年中繁殖が可能で結果的に多産なので、安産や子宝のシンボルにもなっている。
それぐらい精力絶倫な生き物に肖って……という意味だそうだ。
───……いっそ、そっちからアプローチしてくれりゃあなあ……
目的が一緒なら、潔くしてくれたほうが対処しやすい。
なびくかどうかはともかくとして。
とにかく、今のイルカにはこのウサギ上忍を飼うつもりは微塵もない。
居座られるのも勘弁して欲しい。
何しろ、ウサギは躾ができない。
「カカシさん……」
「なぁに、イルカせんせ?」
駆け引きを楽しむ、期待に満ちた目が見つめ返す。
どんな返事も、自分の思うようにコトを進めていける自信があるのだろう。
だが、イルカとて伊達にアカデミー教師をしているのではない。
突拍子もない言動をしまくる子供の相手は得意なつもりだ。
「ウサギも反芻するんですよねえ?」
「へ?」
突如、カカシの口説き文句から飛躍した言葉を投げてみる。
「草食動物ですからね。まあ、牛みたいに吐き戻すワケじゃないらしいですけど」
「……はあ?」
案の定、カカシはため息まじりの生返事。
気は削がれてくれたようだが、けれどヘタなことを言えば揚げ足をとられかねない。
細心の注意を払いながら、それでもイルカは一気呵成に言い切る。
「自分で最初の糞───盲腸糞っていうのを舐めとって、もう一度消化して排出するって聞いたんですけど……カカシさんがウサギってことは、」
そこでわざとらしく言葉を切って、可哀相なものを見る目をカカシへ向けた。
「そういう、ご趣味だったんですねえ」
「………」
もはやカカシに返す言葉はない。
イルカに促されるまま、ぼんやりと部屋を出て行かされた。
* * * * * それから───
相変わらずカカシはイルカにまとわりついている。
あの手この手を使い、なんとか取り入ろうと頑張っていた。
何を気に入ったのか、カカシは本気でイルカを口説き落とそうとしているらしい。
そして、木ノ葉隠れの里では、このネタで遊び歩く上忍が少しだけ、減ったのだった。
【了】
‡蛙娘。@ iscreamman‡
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WRITE:2005/07/22
UP DATE:2005/07/22(PC)
2009/06/20(mobile)
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