カカイル

□1周年お題
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nartic boy
1周年お題SS
 
1年



 どさりと落とされて目が覚めた。

 首を巡らせれば、まだ薄明かりの肌寒い時間。

 そして、たった今自分を蹴り落としてくれた恋人の足。

「……ひっどーい、イルカせんせー」

 小声で呟き、無意識とは言え恋人を足蹴にしてくれた男の顔を覗き込む。

 太平楽といった風情で大の字になった手足を避け、その身体を抱きこんだ。

 こんな付き合いを始め、共に寝起きをするようになってもうすぐ1年。

 しかし、彼がこんな風に寝るのを初めてみた。
 勿論、寝ぼけて寝台から蹴り落とされるのも。

 そう思うと自然に口元が緩む。

 2人ともに忍びの性が身についている。

 共寝をしていても、無意識のうちにまるで敵が近くに潜んでいるかのように息を潜めてしまう。
 もちろん、寝ぼけたりするほど深くは眠らない。

 それが今夜、初めて恋人の本当の寝顔と寝姿を見たのだ。
 
「これでよーやく、オレもあんたの身内ってことですよね」

 そう呟き、今度は蹴飛ばされないよう、しっかりと抱き込んでカカシは二度寝に入った。

 
【了】

WRITE:2005/10/01
UP DATE:2005/10/10(PC)
   2009/11/15(mobile)
 
 
1周年お題

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