カカイル
□1周年お題
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nartic boy
1周年お題SS
秋の言の葉 離れた座敷から漏れ聞こえる音曲に耳と杯を傾けていると、向かいで銚子を手にした人がぽつりと零した。
「無粋ですねえ」
「おや、気に入りませんか」
奏でられる楽には艶やかな声や、客の笑いが混じる。
それが気になったのだろう。
そう思ってカカシは障子に手をかけた。
「なに閉めようとしてんです?」
「や。他の客に聞かせたくないかな〜とか思いましてぇ」
半ば本気の言葉は杯を呷る手に阻まれている。
「なに言ってるんですか」
冗談で流しておいて、庭を向く。
「……確かにあの騒ぎはいただけませんけどね」
宵闇に包まれた中、灯篭のほのかな明かりに照らし出される色づきだした庭は不思議な雰囲気をまとっていた。
苔むした岩の影からは、楽の音に張り合うでもなく、ひそやかな虫の声が響く。
「折角の錦ですから、もう少し堪能していましょう」
手酌ですいすいと酒を楽しみながら、イルカは微笑んだ。
【了】
WRITE:2005/10/23
UP DATE:2005/10/10(PC)
2009/11/15(mobile)