任務遂行報告書

□特別任務
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「風呂に行こうぜ。風呂。」

部屋に案内され、落ち着く間もなくアオバが騒ぐ。

「…また…。子供か、お前は。」
子供の姿のライドウが窘める。
「温泉だぞ?経費ぎりぎりの一番いい宿を選んだんだからな

「…お前の温泉好きは知っている。だから、静かにしろと言っているんだ。」

『…』


何だか嫌な予感


「カカシ〜

『…来たよ…』

…ふぅ…

結局、ライドウを残しアオバと二人で温泉に入る事になった訳よ。

ほんと、緊張感無いでしょ?




「やっぱり、風呂ではすっぴんか。」
アオバと並んで身体を洗う。

「当たり前でしょ?」

アオバもサングラスを外している。

ガラッ
浴室の内戸が開けられ、ライドウが入って来た。

「おいっこっちだ
アオバが声をかける。

「…椅子、ちいせぇな…」

オレの隣に腰掛けた。
やたらと体格いいんだよね、この人。

椅子も小さく感じる訳だ。

あ〜あ、また 新しい疵つくってるよ…


脇腹に刻まれた傷は比較的新しい。
人手が足りないと、手当たり次第に駆り出される今の木の葉に医療班も残り少ない。

「まともに、治療うけたのか?」
頭髪を洗うライドウに尋ねる。
「…いや…」
「自分で縫い付けたんだとよ」

…耳を疑うよ。

「それが一番手っ取り早いからなぁ」
泡を流し終わり、ライドウが短い髪をかきあげる。

軽く飛ぶ 水しぶき

「自分の体も労りなさいよ」
「はい、はい」
「…」
「…何だよ…その目は…」
「子供達より、たち悪い…」

男 三人

ゆったりと 温泉に浸かる。

「最高だなぁ」
「…ああ」
「温泉宿なんて、何年振りだろう」

青葉が星空を見ながら呟く

「大概野宿だからなぁ。」


「今回は特別なの?」

「「ああ。」」
なにも、同時に答えなくても…
「上忍経費で落ちる。」

……。
「…何?…それ…?」

「…知らないのか?」
「使った事、無い…とか?」

「…無い…」

「……」

「あ、お前、この手の任務に就いたことねーだろ?」

サングラスの無い青葉の顔って、何だか、違和感…

「この手って…」

総ての任務を取り扱うわけ無いじゃない…とか、思ったけど、

「偵察と、監視」
「『祭』に無断で参加する狼藉者の排除」


「…『祭』って?」

「豊年祭だ。山車同士でのぶつかり仕合や、牛を使った賭け試合とかな。」

「騒ぎを起こそうとする奴らの中に、某国の大臣や大名のがき大将も混じってやがるから、質が悪いんだ…」


…確かにね、やったことは…ん?

「なんで、今回は特別なの?」
「「お前が居るから。」」

…。
だから、…。

「…こいつも、野宿タイプだからな…『上忍特権』なんて使わねーんだろ…。」

あ、成る程。
それの事ね…。

「…使わないよ。手続き面倒だし…て、特別上忍でも、使えるでしょ?」

「…使えるよ。手続き更に面倒だけどな。だからお前の名前でお前の経費計上で落とすわけだよ。」

「手続きは青葉にまかせりゃいい…」

あ、そう…ね。

「そうか…オレも、任務で一般人としての潜入捜査なんて…………初めて…かな?」

あれ?
ホントに、初めてかも。


ライドウがいつのまにか変化すると、格子戸が開き、他の泊まり客が入って来る。


「お?先客かい?お邪魔するぜ。」
「なかなか広い露天風呂だなぁ。」

ガヤガヤと団体客が押し寄せる。



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