V

□歌
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黒一色で飾られた部屋で、
寂しげに歌う少女

何かの本で読んだのか
誰かが歌って知ったのか


デタラメな英語の哀しい歌を静かに口ずさむ


彼女は、僕に気が付く事なく
ただ延々と歌い続ける



世界が夜に移りだす



月が奏でるヴァイオリンは、
彼女の為に優しさを


風が奏でるピアニカは、
彼女の胸に思い出を


星が奏でる手風琴は、
彼女の涙にぬくもりを


バラバラの楽器は音を合わせ、少女の声に重なった







夜が明けた。

それでも少女は歌い続ける。


寂しげな声で、哀しい歌を。

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