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□桃色の指先
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わが社のマスコットとして愛されている彦ちゃんさんと、仕事ができてキレ者と評判の梶原さんがお付き合いをしているらしい。
にわかには、信じられないお話です。
だって、あの彦ちゃんさんと、梶原さんですよ。
彦ちゃんさんと言えば、くりんとした瞳が愛らしい方です。
他社との交渉では、捨てられた小犬のような瞳で、そう、まるで、うるうるという音が聞こえそうなんですが、お相手の方をじっと見つめるんです。その瞳はまさに100万ボルト。お相手の方が紳士だろうが淑女だろうが関係ないのです。気づけばこちらの提示額と大きく変わらない内容で、お相手の方がうなずいているのです。その瞬間に見せる笑顔は思わず抱き締めたくなるほどです。キラキラと輝く瞳はまさにダイヤモンド。
今では、「契約を呼び込むお犬様」と社内では崇められ、取引先からは「絶対不可避の懇願」と恐れられています。
そんな彦ちゃんさんですが、何が素晴らしいって決して下心があってあのような態度をとっている訳ではないのです。純粋で正直な方。尊敬すべき先輩です。
かたや、お相手の梶原さん。彦ちゃんの100万ボルト雷撃にやられたのでしょうか。