遥か1・2

□翡翠
1ページ/1ページ

潮風が我が君の頬を荒々しく撫でていく。



少し疎ましそうに君は眼を細めた。



いつものことじゃないか、そんな風くらい。


そうは思っても君はまた私を疎ましそうに睨むのだろうね。



それが本当の君の表情(かお)でないと知っているのは……






「頭領?どうかされまして?」

「いや、何もないよ。
ただ、我が白菊の君に見惚れていただけさ。」

「頭領?」

君はまたそうやって私を睨む。

「いいさ。本当の心を知っているからね。」

「何か仰られましたか?」

「いや。風が気持ちいいと言っただけさ。」




この海賊の頭領である私を魅了し、あろうことか自分の心を先に奪われてしまうとはね。



まあでも、悪くない。


君の本心を知っているからね。


毎日こうして海の上で過ごすことで、私は君という人を深く知ったからね。



いつかは我が君の為に、地上(りく)に上がらなければいけないね。




☆終☆
遅くなりすいません。

ヒロインは翡翠のいた伊予の国の女性です。
淑やかな女性をイメージしてみました。


それではこれからも紅桜をどうぞよろしくお願い致します。

2008/11 貴世

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ