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□Life Game 21
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Life Game 21
act.1
Soul Beast
ソウルビースト
【soul beast】
ジャンクステーションで開催されている対戦型カードゲーム。
漣のように、抑えた歓声がフロアに広がる。
並ぶモニタの大半に映し出されているのはジャンクステーションが提供するネット上のカードゲーム、『ソウルビースト』だ。
参加者のレベルや遊び方によって幾つかのカテゴリに別れているが、最も多くの者が関心を寄せているのがレベル8以上の参加者によるリーグ戦──通称『L8』。
特に今日のフィールドF、第3節はこれまでにない注目を集めていた。
先攻の[RAIN‐MAKER]はレベル13、現状ではほぼ最高位のマスタークラス。
【天水の魔導師】をメインカードに使い、水系のクリーチャーとスペルを主体にした戦術を得意としている。
『ソウルビースト』はこのメインカードを様々な効果を持ったカードで強化、または抑制しあって戦うゲームだ。
まずはその特性を最大限に生かす地形エフェクト【大湿原】と、攻撃力はないが他の水系カードを場に召喚できる【アメガエル合唱団】を揃えてきた。
対する[RING]はレベル9だが、プリンセスの称号を持つ。
【天使の声を聞く乙女】を用い、様々な特殊効果をもつクリーチャーを駆使したカウンターを得意としているプレイヤーだ。
最初に出した【黒い霧】の効果で召喚した【ブラックドッグ】はダイレクトアタックも仕掛けられるレアカードの一枚。だが、特殊能力の発動には幾つもの条件があり、使い勝手の難しいカードでもあった。
【ブラックドッグ】の通常攻撃で【アメガエル合唱団】を破壊すると、特殊能力で[RAIN‐MAKER]のテリトリーに【湖沼の主】が召喚される。
自分からは攻撃できないが、敵味方関係なく低レベルのクリーチャーを飲み込んで特殊能力を発動する希少なクリーチャーである。
ファーストターンから惜しみなく披露されるレアカードに観戦者は増えていく一方だ。
サイトの閲覧数とフロアの様子、そしてバトルの行方を見ながら、武川直はぬるくなったコーヒーを口へ運ぶ。
ここは秋葉原のジャンクステーション。
限られたスタッフしか入ることの出来ない3階のサーバルームだ。
アコードと出会ってから2年。
大学生となった武川直はここでシステムエンジニア助手のアルバイト──つまり雇われの身となっている。
とは言っても、ここのサーバは特殊で通常のメンテナンスは不要。
主な仕事は、サーバそのものであるアコードのお世話係というか下僕というか……。
まあ、それはそれで大変なのだけれど。
「鈴妃ちゃんも強くなったねえ」
感慨深げに[RAIN‐MAKER]の反撃と[RING]の対応を見守る。
やはりレベルは下だが[RING]のほうがよりカードの特性や関連性を理解して使いこなしている。
きっと、3ターン目でこのバトルは決着する。
なぜなら、[RING]こと榊原鈴妃は『ソウルビースト』開発にテストプレイヤーとして関わった経験値がある。
当初は子供らしく突飛で筋違いの手ばかりで全く勝てなかった。
up date:2008/12/08
write by Hamada.M.《蛙女屋携帯書庫》
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