短編小説
□スノーホワイト
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スノーホワイト
「アンタなんか、ウチの子じゃないっ」
おかあさんはそう言って、ドアを閉めてしまった。
団地の廊下には誰もいない。
電気がところどころ点滅してたり、消えてるせいで廊下は暗い。
おとうさんが、帰ってきてくれないかしら。
そんな気持ちで階段室や、下を覗いみても、誰もいない。
冷たい風がごおごお音を立てて、覗き込んだ顔に吹き付けてくる。
眼が痛い。
でも、泣きたいワケじゃない。
首を引っ込めて、フェンスに寄りかかって座った。
ドアが開いて、おかあさんが入りなさいって言ってくれないかなあって思う。
けど、おうちはこのドアだったかしら。
【了】
濱田都《蛙女屋携帯書庫》
[http://id54.fm-p.jp/133/ameya385/]
初出:2009年6月24日
ブログ『日々是空想科学日和』
最終更新:2009/01/08