最終話以降の話です。
歩は回復し、ひよのと付き合ってるという無理矢理な設定ですが…大丈夫な方だけ次へお願いします!
【嘘の本当】
俺たちが、付き合いだして早、1ヶ月。まぁ、普通の人みたいに一緒に出掛けたり楽しんではいるが…
「…そろそろ本当の名前教えてもらってもいいと思うが…」
「名前ですか?」
きょとんと、した顔で聞いてくる。
そう、俺はコイツの名前を知らない。
「さすがに、アンタばっかじゃ不便だし」
たしかに不便だったが…本当の理由は……。
「ひよのでもひよのちゃんでもなんでもいいですよ♪」
堂々と偽名で呼ばせようとするコイツに一瞬でイラッとした。
「…名前教える気ないのか?」
低い声で言うと、コイツは首を横に振り「いいえ」と返した。
「じゃ、なんで教えないんだ?」
少し、困ったように笑うコイツは小さな声で言った。
「それは企業秘密です」
毎回のお決まりの交わし文句。
「はぁ〜、聞いた方が間違いだった」
負けたと手を上げると、コイツはすみませんと苦笑した。
名前が駄目なら他に気になることを聞いてみた。
「じゃ、本当の年齢は?」
「鳴海さん、女性に年齢を聞くのはダメですよ!」
人差し指をビシッと立て、コイツは言った。
「名前も年齢も駄目なのかよ…」
ハァ〜、と溜め息をつき座りこむ。
「そんなに知りたいんですか?」
不安そうに俺を見てくる。
「あのな〜、自分の彼女の名前を知らないほど悲しいことあると思うか?」
1ヶ月もアンタ、コイツとかでしか俺は呼んだことはなかった。
俺は少しだけ落ち込んできた。
「ん〜、仕方ないですね…」
コイツは諦めたような溜め息を吐くと、俺に耳打ちをしてきた。
その言葉に、驚きが隠せなかった。
「…それ」
「はい、私の本当の名前ですよ♪」
「やっと…名前分かったんだな」
俺が、コイツに真意を確かめるとニッコリと笑顔で返された。
「な〜んて嘘ですよ!鳴海さん♪」
「は?」
コイツの言っている意味が分からず混乱してしまう。
「鳴海さん、今日は何の日ですか?」
「今日は…4月1日…あ」
やっと、分かった俺はコイツを見ると、凄く情けない顔をしてしまった。
「あ、信じちゃいましたか?すみません…鳴海さんがずっと聞いてくるものですから」
すみません、とまた返された。
「いいよ、忘れてた俺が悪いから」
苦笑してみせるとコイツも同じく苦笑してみせた。
それから、少し他愛もない話しをした。
「あ、私そろそろ仕事の準備があるので…」
腕時計を見て、コイツは申し訳なさそうに俺を見て来た。
「そうか、今日は悪かったな変な質問ばっかりで…」
俺は、悪いと片手で謝るポーズをした。
「全然大丈夫ですよ!」
にこにこと、笑顔で返され少し安心する。
「今度はいつ会えるんだ?」
「そうですね〜、今回は国内なので2ヶ月ぐらいですね…」
悲しそうに彼女が言うと、あぁ、またしばらく会えないんだと思った。
「電話ぐらいならするよ」
「私も毎日のように電話しますね♪」
「いや、毎日は遠慮する」
「も〜、そうやってすぐに嫌がるんですから」
2人で、少し言い合うと可笑しくなり笑ってしまった。
「じゃ、頑張れよ…気をつけてな」
「はい、鳴海さんも健康には気をつけてくださいね」
お互い握手をして、コイツは振り向いて行こうとしたら、戻ってきて再び耳打ちをされた。
「…え」
「では、行ってきますね鳴海さん」
頬にチュッとされ、振り向き帰って行った。
頬を手で押さえ、さっき言われた言葉を思い出す。
(さっきの嘘の名前ですが…あれは本当ですよ)
「…今度あの名前で呼んだらどんな反応するのかな?」
彼女の本当の名前を小さく呟き、2ヶ月後に会う彼女に言おうと心に決めた。
《あとがき》
拍手ありがとうございます!5月なのに4月期拍手です!季節外れのネタですみません(泣)
私的には歩は元気になってほしいです!ひよのには、歩の近くに居て幸せになってほしいです!
皆様ここまで読んでくださりありがとうございます!
執筆
2009/05/22